第8話【初めてのお仕事】
僕の名前はホットス・プリングス!気軽に温泉と呼んでくれ!
あらゆるツッコミを放棄し、自分の好きなように生きていただけなのに僕はいつの間にか温泉巡りの旅をしている。
詳細は面倒だから遡ってくれ。
という訳なんだが、実はここ温泉が多いからもう旅に出る必要がなくなってきたんだよね。いわゆるタイトル詐欺というやつになってくるんですが、どうしたものか。
とりあえず僕は要らない仲間全て捨てて温泉を自分自身で作り上げる能力をゲットして自分の理想郷を作り上げることを目標にこの世界をうろちょろと歩き回るつもりなんですが如何でしょう?
と、そんなことはどうでもいい。
今、僕はギルドの前にいる。ソロでやるとは言ったがまずは登録が必要なんだよなぁ。
前は騎士としてやってたからいつも通りそんな感じでやるのもありかなと正直思うんだけど、絶対一日だけとか、無茶があるお仕事だからやっぱり冒険者という名の薬草拾いした方がいいと思うんだよねぇ。
そんなことを思いながら騒がしい木製のギルドの扉を開ける。
カラン、と音が鳴るのを聞きながら。
騒がしい声が静まる。
みんながこっちに注目してくる。
一瞬静まった声もすぐに騒がしくなりまた元の状態に戻った。
カウンターにいるヒトに話し掛ける。
普通の人型をしているが、彼女は生粋のアンドロイドだ。
僕の作ったものでここで働かせている。
感情が篭っているのでほとんど人間には変わりないのだが、機械の声だけが彼女がアンドロイドなのだと自覚させてくれる。
「after、覚えてる?」
「……ホットス・プリングス様ですよね?もちろん、覚えてしおりますとも。」
「よかったー。でさ、本題に入るんだけど……」
僕はafterにここまでの流れを話す。
彼女は実に優秀なアンドロイドなのでこうやって人の話を聞き、情報処理をすることには長けている。
また、秘密なども漏れることがない。どんなにバラバラにして記憶の部分を取り出そうとしても彼女の脳は空っぽである。
ボクが脳を付けなかったからだ。
それではどうして情報処理に長けているのか、それは特殊な空間による感情操作だ。
感情により情報を動かす。
わからないという人がほとんどだろうがわからなくていい。
分からないからこそ、僕にしかその情報を奪うことは出来ないのだから。
「でしたら魔法草と蕨草が足りていないので持ってきて頂ければそれくらいのお金にはなるかと。」
「おっけー、そっこーで刈ってくるから貨幣の用意よろしく。」
「かしこまりました。ホットス・プリングス様」
魔法草と蕨草などの草刈りはF級クエストである。
このギルドではステータスのランクを表示するのは本人の意思によって決まる。自分の持つランク以下にしか表示出来ないが、それでも便利な機能である。
ちなみに僕のステータスはこんな感じだ。
ホットス・プリングス
Lv42 人間族 Sランク
攻撃力42
防御力42
HP424
MP424
>その他のステータス
>スキル
なんとも簡単なものしか書いていない。
この世界での最大レベルはどれも99。
ということになっているのだが実際はそんなことはなくどこまでも行ける。僕だけは。
最大レベルは99なのだがはっきり言うとそこまでいける存在はまだいない。
人間や魔物で表すとするならば40いけたら神レベルと言ったところだろうか。
僕を抜いてこの世界で一番レベルが高いのはこの国の騎士団団長のMÄR(メル)だ。
女騎士という訳では無い。生粋の男である。レベルは驚異の35。未だに記録を伸ばしつつある。
普通の騎士ならレベルは十後半、良くて二十前半ぐらいしかない。
攻撃力や防御力も同じく十後半から二十前半が騎士のレベル。
一般人だとこのステータスがほぼゼロに近い。
この場合は魔物と戦うのは諦めた方がいい。
ほぼゼロに近いと上げるのは大変である。上がることには上がるので別にバツとは言わないがとにかく大変である。
HPとMPは特別枠で最大が999。
三桁あれば十分魔物と戦える。
二百を超えるのが騎士、四百を超えるのがすごい騎士だ。
二桁があれば暮らしていくのには十分な量である。
体力と魔力は重要なので高ければ高いほど有利である。
また、一般人でも生活魔法というのがあり、魔力が高ければ家事もラクラクに終わらせることが出来るのだ。
ちなみに一つ付け足すと僕のステータスは弄ってあるので実際はこんなに低くない。
暇すぎて戦っていたらステータスが振り切れて本物を表示しようとするとバグが起きるようになったのだ。
だからこのように偽物を用意することにしたのである。
全部4と2なのは私の趣味である。
ちなみにいつもは違うステータスで暮らしている。
そのステータスが暴かれた時に本物の代わりに出てくるのがさっきのステータスである。
ホットス・プリングス
Lv24 人間族 Dランク
攻撃力24
防御力24
HP242
MP242
>その他のステータス
>スキル
ちなみにギルドのランクをDからCに上げたい場合は専門の学校に半年の間通う必要がある。
僕は面倒なのでやっていないが、ランクが上がると買い取ってくれる額が上がったり、王さまのパーティーに呼ばれたりと平民でも貴族のような暮らしが出来るようになってくるので通うものは後を絶たない。
草取りをしてギルドに帰る。
銅貨五枚と交換して適当に歩いた。
大木、ちゃんとやってるかな。
○
「はぁはぁ……こんな仕事だなんて聞いてない!」
そう、こんな仕事だなんて聞いていなかった。初耳だ。
SATYさんがとてもいい人そうだったからそんなにやばいことはさせないと思っていた。思っていたのに。
「言ってないからねぇ。」
「いって…下さいよっ!」
騙された気分でいっぱいだ。
虫の死骸を片付けるだなんて聞いてない。
「言ったら断られるでしょ?」
「当たり前じゃないですか!何変なこと言ってんですか!」
「頑張って下さいな。」
「やってやるのじゃ!オラぁあ!!」
もうこうなったらやるしかないと思った。
エルフであるSATYさんはエメラルド色の綺麗な長髪を風になびかせてその髪の隙間からエルフの象徴である耳が見えていた。
「……ホットス・プリングス様の言ってた通り扱いやすいやつやねぇ〜。」
「なんか言ったか?」
「言ってないよ。」
なんかすっごく嫌な事言われた気がするがそれは無かったことにして一旦置いておこう。
○
「終わったぁぁ……。」
「お疲れ様、明日もよろしくね。」
「もういやぁあ……。」
そう言われると準銀貨一枚を渡された。
「ありがとうございます。」
「いーのよ。ちゃんとしてくれたしね。」
何を買おうかな、とそんなことを考えながら帰路を歩くのであった。
n:周回チートの温泉巡り 紫骨 骸 @shikotu_gai
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