死体あっての脚本部

作者 石嶺 経

71

26人が評価しました

★で称える

レビューを書く

★★★ Excellent!!!

自分の人生に人とは違った特別さをあきらめない前守は、常に刺激的なことに飢え鬱々とした日々を送っていた。
そんな彼女の友である主人公の犬一は、自分が特別な登場人物でないことを悟った側の人間だった。

こうやって書くと、とある名作を思い出します。そう「涼宮ハルヒの憂鬱」です。この作品はいわば、宇宙人も未来人も超能力者も出てこない「涼宮ハルヒの憂鬱」と言ったところです。
ただしその代わりと言っては何ですが死体が出てきます、宇宙人や未来人や超能力者よりはある意味ではよほど大ごとです。

待ちに待った非日常、それに対して彼らは探偵ごっこではなく脚本作りを始めます。非常に落ち着いた文体でありながら、スラスラと読め作者の力量の高さがうかがわれる作品です。

★★★ Excellent!!!

被害者は野球部の元エース・八木。死因は脳挫傷。前守は事件を解決すると思いきや、脚本作りを始める。

ミステリーらしい雰囲気を帯びたストーリー。しかし、実情は謎が脚本に化けるというとんでもない方向へと向かっていく。そんな変な展開がかなり、読む人をエキサイトさせる。

文章も単純明快。キャラクターも個性的。奥深くも、軽快な物語は必読。ぜひ、読んでもらいたい。

★★★ Excellent!!!

タイトルが実に上手いと思います。
学園を舞台にした青春ミステリは数あれど、謎解きよりも、事件をどう自分たちの青春のエッセンスにするか、という部分に重きを置いた作品はあまり例を見ない気がします。
ドライさとクールさを端々に見せながらも、それでもこれは紛れもない青春の一コマ……。
シリーズで読んでみたい作品です。

★★★ Excellent!!!

犯人は誰か、被害者との関係はどうだったのか、凶器はなんだったのか、どうやって殺したのか、殺害に至る動機はいったい。或いはすべてがただの事故だったのか。
それは推理小説において探偵に問われることですが、こちらの小説は探偵不在。かわりに暇を持てあました学生が複数人。彼らがはじめるのは推理ではなく脚本ごっこです。故に真実かどうかは重要ではありません。

予想外の犯人、意外な動機、奇想天外な展開。
ただそれだけ。

実際に死体のある殺人事件、しかも学校のなかで起きた事件なのですから不謹慎ではあるのですが、後ろ暗さはなく、実に軽妙な語り口で推理という脚本ごっこは進んでいきます。
本筋の端々に挿しこまれた登場人物らの掛けあいがなんともいい。いきいきとしていて、それでいて平穏な青春に浸りながらだらけきっていて、時々機知の利いた刺激的な言葉が跳びだします。

こんなかたちの推理小説があるだなんて。
推理小説の新境地を拓く、素晴らしい長編でした。

★★★ Excellent!!!

探偵でも謎解きでもなく。脚本。
こういう手法のミステリーは初めてで、それだけで評価に値します。
しかも内容も、きちんとエンターテインメントとしてのラインを保てている。
他の方もして生きていましたが、じゃっかんミステリーとして謎解き部分に物足りなさはあるものの、それを感じさせない構成とストリー展開。
面白いですね。
ぜひ読むべきかと。

★★★ Excellent!!!

ある日、校内で起こった殺人事件。日常に退屈していた主人公たち、男女三人は事件の謎を追うことにした……と説明すると普通のミステリーっぽいのだが、本作が特徴的なのは彼らが行うのが、「探偵ごっこ」ではなく、「脚本家ごっこ」という点だ。

では脚本家ごっことは何か。作中の台詞を引用すればこういうことだ。
「つまりね。今回の事件を面白おかしく説明をしようって訳。どういう動機で、どういう方法が取られたか、一番面白い筋を書いた人が勝ちね」

とんでもなく不謹慎な話なのだが、授業をサボったり、ずっと寝ていたりするのが当たり前の彼らにとって、たいして親しくない生徒の死なんてあくまで暇つぶしの材料でしかない。そして、こんな彼等が繰り広げる会話がとても軽やかで読ませるのだ。

謎解き部分がややあっさりとしてミステリーとしては少し弱い部分もあるが、それよりもクラスメートたちとの何気ない会話や、事件を調べる過程で浮かび上がる男一人女二人の微妙な関係性など、青春小説としての側面を楽しんでほしい。

(新作紹介 カクヨム金のたまご/文=柿崎 憲)

★★ Very Good!!

ミステリーらしい導入。そしてそれを追う物語なのかなと思い、読み進めていきました。

ただ、読んでいると所々違和感を覚えます。淡々としていたり、事件の描写や性別などの説明が極端に少なかったり。冒頭のレベルから考えると、もう少し上の話をかける方のはずなのだと疑念を抱いたまま、ラストまで読み進めました。

そして訪れるラスト。

ああ、なるほど、と腑に落ちました。だからこその描写だったのかと。そうだからこその省略の数々だったのかと。そして最後には、安心させられました。良かった、良かった(’-’*)♪