その深淵

NEO

深淵

黒い口はすぐそこにある

常にそこにある深い淵

人は恐れを込めて様々な名前でそれを呼ぶが

それは些細な問題でしかない。


その黒くもない黒に塗り潰された闇は

まるで語りかけるように、なぜか人を引きつける

淵はなにも喋っていないのに、不思議な事だ


淵の淵……シャレではないが、そこに立って見るといい

黒ではない黒の闇が延々と拡がり、それだけでなにもない

そう、淵の中には何もない

人はこの深淵の事を概ねこう呼ぶ「死」と。


その口はもの近くにある。

その黒ではない黒の「ささやき」に、誘われない事を切に願って……

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

その深淵 NEO @NEO

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ