消えた二つの王国
続 第一話
今の僕は……
今の僕は、そうです。ラピス、貴女と共に生きています。
ラピスは、フローロという国の王女でした。
僕は、フローロの隣国であるアニアの兵士でした。
二つの国は、亡びました。
僕らは、たった二人の生残者でした。
――――――――――
アニアの王族は今や、星族の言いなりです。星族の思いのままに国は統治されています。
アニアの国王は宝飾品が好きで、世界中のめずらしい宝飾品を集めていました。星族は、そんな国王にめずらしい宝飾品を世界のあちこちから集めて献上しました。そして、徐々に国王を星族への従順な支配下へと変えて行きました。
星族は、世界中の国の結界を管理しています。星族だけが、結界を強化する特別な"光の魔法"を使うことができるからです。それぞれの国を統治する王族は、星族に結界の管理を任せるしかありません。結界がなければ、たとえどんなに高い壁で国や町を囲んだとしても、魔物が城下町や城に入り込んでしまうからです。
星族は本来、星族以外の人とは関わりませんでした。それは、王族に対する配慮からそうされてきたとも言われています。国を統治する王族、結界を管理する星族。その権利は王族が上であるのは周知の事実ですが、星族がのさばるようになったとしても王族は逆らうことができません。国の安全をはかるためには、星族を国に置き、星族に結界の管理を要請する以外に方法がありませんから。
それに気づいた一部の星族が、世界中の国を支配することを目論みました。そして、じわじわと世界中の王族へと歩み寄りました。
賢い王族は、星族とは一定の距離を保ちました。王族は星族にその座を奪われることなど、容易に想像できたからです。
ですが、残念ながらこの国――アリアの国王は、宝飾品に目が眩んでしまいました。その結果、国の重要な機関に於いても、星族が跳梁跋扈するようになってしまいました。
だから僕は、この国には亡びてもらい、世界中の王族と星族への戒めとしていただきたいと思いました。
そのために僕は、アリア国の兵士になりました。兵士になるのは簡単でした。それなりの実力を持っていましたし、珍しい宝飾品をひとつ、国王に献上すればよかったのですから。
それほど若くもなく、出身も不明である僕は下端の兵士でした。それでも構いませんでした。アリアの国内に入り込み、内情を知るには十分だったからです。
申し遅れました。僕の名は、ビシュといいます。特別な風の魔法を使います"
僕は、この魔法で様々なことができます。同時に二箇所に存在すること、離れた場所で起きていることを視覚として認識すること等々です。その魔法で、僕はいろいろなことを知りました。
ですが、僕ひとりでひとつの国を亡ぼせるとは思っておりません。アリア国には、たくさんの人が住んでおりましたから。
どのようにアリアの国が亡ぶに至ったのかを、僕自身が忘れないためにも、ここに記しておきたいと思います。
僕の瑠璃は時空を超えて 一榮 めぐみ @megumi302
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。僕の瑠璃は時空を超えての最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます