飽き性な俺が気ままにSCPを説明してみた

SCP-134-JP「メリークリスマス！」

　クリスマス終わってるとか言わない！

オブジェクトクラス：safe

　SCP-134-JPは木箱に収められた昔懐かしのディスク型オルゴールです。あの手のオルゴールが主流だった時に生まれた者でないのでディスクが何処かしらイカれててもおかしくはないと思うのですが、一般的に「ジングルベル」と呼ばれる楽曲のメロディが流れるらしいので壊れてはないようです。

　また、木箱に収められていますが木箱の蓋を開けた時点でオルゴールは楽曲の再生を始めます。案の定というか当たり前というか、エネルギー源は不明だそうです。ただ、逆に蓋を開けさえしなければ曲が流れることはないのでそこがsafeたる所以でしょう。

　現在もSCP-134-JPは蓋を閉じた状態でサイト-81KAの低危険度物品収容ロッカーに仕舞われて眠っています。26個くらい。

　異常性の話に入っていきます。

　SCP-134-JPが奏でるメロディを直接、録音問わず聴いた人（以下聴いた人のことを『対象』と表記）はとある記憶を思い出します。この記憶は、内容に多少差はあれど大きな満月のクリスマスの日についての記憶であることが共通しており、この記憶は実体験に基づくものだということを現在立証できていません。

　…くどい言い回ししてますけど要は実際に起こったことへの記憶なのかそれとも音楽に乗って頭に刷り込まされたものかというのは不明ってことです。

『対象』は音楽をどのくらい長く聴いたか、に比例して記憶が戻ってきます。思い出せば思い出すほど記憶をより取り戻すことに固執する様になりますが、音楽を聴かない限り新たな記憶を思い出すことはできないようです。

　ちなみにある程度音楽を聴いて情報を思い出した『対象』は急に消失します。消失するプロセスも消失先も不明です。なんか今回の財団不明不明続きですね。

　実験結果を実際に載っけた方があれこれ言うより早いんですけど、サクッと求めると

【実験記録134-JP.1】

　Ｄクラス職員一名（適当にＡとでも呼びましょうか）にSCP-134-JPが奏でる曲を３分聞いて思い出した記憶は「６，７歳の頃自分の家ではないどこかの家で１２月２４日の日を過ごしていた」「雪が降っていて大きな満月が見えた」という記憶を思い出した、と残されています。

【実験記録134-JP.2】

　Ａに+3分聞かせて「サンタクロースを見るためにベッドの中で頑張って起きていた」という記憶が。

【実験記録134-JP.3】

　Ａに+3分聞かせて「暖炉の方の物音で目が覚めた」「暖炉から機械のような物音がする」「クリスマスツリーは薙ぎ倒され、部屋の中に『サンタではないなにか』が入ってきた」ことを思い出します

　そして【実験記録134-JP.4】を行う最中にＡは１分のところで「思い出した…あああああああああああああ！！！」と絶叫を残し消滅。

　このＡを後々調べてみると幼少期にＡは失踪していることが判明。財団の方で残っているデータと失踪したという事実が噛み合わないため財団は調査している最中だそうです。

【実験記録134-JP.5】

　今度は四人のＤクラス職員にSCP-134-JPの曲を聴かせて前回の結果の続きを探ろうとしてようです。

　７分経過くらいに四人全員が顔色が悪くなり、10分経過時点でＡと同じように絶叫して三人消滅してしまいました。

　が、残りの一名は絶叫こそしたもののその場でぶっ倒れて気絶。

　消失した三人は幼少期に失踪していることが明らかになりました。

　で残されたＤクラス職員一名（Ｂと呼びましょうか）が起きたのち行われたインタビューの内容を改変しながら抜粋しようと思います。

Ｂ「それで気がついたら空の上に居たんです。大きな満月が見えていて、下には雲がありました。つまり雲の上に居たようで私は真っ逆さまに落ちていたんです。月は不自然なくらい大きかった気がしますが、それよりも大きくて、ぐちゃぐちゃと蠢いている白い袋を持った“アイツ”が…」

インタビュアー「月より大きいんですか？他に共に落ちてる人は？」

Ｂ「いえ、私だけ…だった気がします。

　気持ち悪いんです。満月を背に“アイツ”はもう遠くに居るはずなのに…叫び声も、鼻歌まで聴こえるんです！まさに、その、あのオルゴールのメロディのまんまなんです！“アイツ”の鼻歌が止んで…それで…それで“アイツ”が私に「お嬢ちゃん、大きくなったら伝えておくれ」と…！」

（Ｂは顔に手を当てて俯く）

インタビュアー「彼は何と言っていたんでしょう？」

Ｂ「確か…………

　確か…………………！！！」

インタビュアー「大丈夫ですか？」

（Ｂは引き攣った笑顔で顔を上げる）

Ｂ「（低くしわがれた声で）メリークリスマス！！！」

（Ｂは気絶しその場に倒れる）

　さて皆さま、クリスマスはいかがお過ごしでしたか？

　僕はボッチのクルシミマスだったのでご安心ください。僕はボッチの味方です。

　サンタさん来ました？プレゼント貰いました？

　別に今の話に限らず、小さい頃とか貰えました？サンタさん、家に来ました？

　…ところでそのサンタさん、本当に『サンタクロース』である証拠はどこに有るんでしょうか？

　もしかするとあなたが忘れているだけで、本当はプレゼントを渡しに来たのではなく、プレゼントを「受け取りに来た」のかもしれませんね…？

　まあそれはさておき。

　結構遅刻しましたが、折角ですしこの言葉で締めましょうか。

　メリークリスマス！