優しき陽の呪い
松中晴瑠
第1話
夕焼けが辺り一面を赤く染める。
眩いばかりの光が、僕に突き刺さり、そして包み込んでくる。
僕はこの時間が大好きだった。
この陽が落ちる前特有の眩さが、辺り一面を黄金色に照らして僕を意味もなく祝福してくれているみたいで好きだった。
でも、同時に哀しさも湧いてきた。
いつ、どの場所で夕焼けを見ても、あの娘の事を思い出してしまうのだ。
もう二度と会うことは出来ないあの娘の、切なそうで、でも満ち足りた笑顔を、夕焼けを見るたびに思い出してしまうのだ。
君の眩い笑顔と共に、僕は一生夕焼けの呪いを背負っていくのだろう。
僕も満ち足りた笑顔で終えられるように、夕焼けの呪いと共に精一杯歩いていくよ。
でも、せめて。
夕焼けが辺りを照らす時は、君と一緒に黄昏させて欲しい。
優しき陽の呪い 松中晴瑠 @Dessert_Knife
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