第3話 女神様。はい、女神様。女神様!!??

「ひゃっほーい!! ・・・ん?」


目の前には、中世のような町並みの世界・・・って、あれ? ここは、明治時代か?

目の前には赤いレンガの建物、と、瓦作りの家。

あれ?

当然のように隣にいる自称女神は、周囲を見渡して目を輝かせている。


「あの。女神さん? いろいろ聞きたいことがあるんですけどいいですか?」


女神は腰までかかる白くて長い髪をなびかせ振り向く。


「はい? 何でしょうか?」

「ここって一体?」


不機嫌極まりない声で聞いてしまったが、彼女は顔色を変えずに笑顔で答える。


「はい。ここは、ヒノモト王国のミョウチ時代ですよ!」


そうではなく、ここは異世界なのかと聞きたかったのだが、意図が伝わらなかったみたいだ。そして、なんだか都市の名前がもうツッコミどころ満載ではあるが、そこにはあえて触れないようにしよう。

彼女は無邪気な表情でこちらを覗き込んでいる。一体この女神は何をしたいんだ?


「あの、そんな難しい顔をされてどうされたんですか? ジャッキーアイ様」


その呼び方はやめてくれ・・・。もう、卒業したんだ・・・。俺は浅比麻尋になったんだ!


「その呼び方はやめてくれないか?」

「それは、どうしてでしょう?」


ああ。面倒くさいやつだな。だが、俺にはそれよりも気になることがある。


「どうしてもだ。それよりも、女神さんまで異世界に来た理由が分からないのだが?」

「えっと、それはですね、女神規定法第114514条第622項女神は、イレギュラーに対応すべくサポートしなければならない。があるからなんですよ」


つまりは、仕方ないから来たってことか。無邪気そうな顔をしていても、仕事中なのか。


「あ、でもですね。ジャッキ・・・。いえ、キミのことは割りと好感がもてたので・・・。えっと、それで・・・」

「ああ。ありがとう。で、どうサポートしてくれるんだ?」

「そうですねぇ。まずは、醜い声と顔をなおしましょう!!」


はい? なんだこのクソ女神は。確かに声にも顔にも自信はないけれど。

明らか喧嘩売ってるよね?


「あの。どうして黙ってしまったのですか? あ。もしかして私がなにか気に障るようなことを? もし、そうでしたらごめんなさい」


と、ワンテンポくらい遅れてから謝罪が来た、が。もう煽られているようにしか聞こえない。まず、ディスってから謝罪までのタイミングがワンテンポって狙っただろ?


「おい、今のあきらかに喧嘩売ってたよね?」

「いえ。そんなつもりは・・・。そういえばキミ、全然私の名前聞いてくれないですね」


そういえばって、話全く違うし。なんの脈略もないんだけど!?


「じゃあ、女神さん。名前教えてもらっていい?」

「い、嫌です。恥ずかしいじゃないですかっ!」


といって、顔を赤らめたのだが・・・。今のは名前を聞いてくれってことじゃなかったのか? 全然ついていけない・・・。ああ、なんか面倒くさくなってきた。


「わかった。じゃあこれからも、女神って呼べばいいよな?」

「待ってください。名前。私の名前聞かなくていいんですか?」

「だって恥ずかしいんだろ? なら、わざわざ答えなくてもいいだろ」


本当になんなんだこの女神は。


「聞いてください。私の名前」

「ああ」

「ああ。じゃないです!ほら、キミはお母さんから習わなかったのですか? 人にお名前を聞くときは?」


いい加減怒ってもいいだろうか? いや、こいつが生活の助けをしてくれるはずだ。利用しない手はないな。


「分かった。メガミサマ、オネガイデス、ソノ、ウルワシイ、オナマエヲ、オシエテ、イタダケナイデショウカ?」

「むぅ。なんだか棒読みなような気がしましたけど、いいでしょう。あ、でもやっぱ恥ずかしいです」


このままいくとこのやりとりだけで一日が終わってしまいそうだ。どうにかして聞き出さなければ。


「大丈夫。俺のジャッキーアイに比べたらマシだよ」

「ですかね?」

「うん」

「じゃ、じゃあ。私の名前はポ、ポニス」


その名前のどこが恥ずかしいのだろうか?


「いい名前だな。ポニス、ポニスっと」

「ダメです。そんなに連呼しないで下さいよ」


何故かポニスは顔を赤らめてうつむいている。名前の響きが嫌なのだろうか? 確かにマヌケそうな響きだが。


「どうしてだ? ポニス。いい名前じゃないか」

「な、なら町の人に聞いてみたらどうです? ポニスの意味!!」


やっぱマヌケとかっていう意味なのだろうか?


ちょうど近くにいた緑のショートカットの女の子に聞いてみることにする。


「すみません」

「ん? 何?」

「いきなり申し訳ないのですが、ポニスって知ってますか?」


ん? みるみる女の子は顔の色が赤くなっていく。ポニスってそんなに変な意味だったのか? なんかマズイな。今にも叫び声をあげられそうだ。


「きゃあああああああああ。変態よ!! 変態が出たわ!! 誰か助けて。アイツよ!!!!」


そう、俺を指差す。マジでヤバイ。さっさと逃げよう。


・・・鎧をつけた奴らが追ってくる。そして、俺は近くにあった川に飛び込んだ。そうだ。俺、泳げなかったんだ。あれ? そういえば、女神はどこへ行った?

もう、俺死ぬんだな。




「起きなさい。この変態」


ここは? なんだか牢獄のようだが。って、牢獄じゃん。なんか檻だし。目の前にはさっきの街人A。


「俺は変態ではないぞ。そもそもどうして俺は捕まっているんだ?」

「そ、そんなのあんたがさ、誘うから」

「???」

「スットボケないでよね!?」


皆さんはおわかりだろうか? 今の状況を。俺はまったく分からない。てか、一人で脳内で実況して虚しいな、俺。


「そこでお国のために奉公してなさい。この王女を汚そうとした罪は重いのよ」


王女!? なんで一人で街にいた? あ、王女が叫んだ瞬間兵士集まってたな。周りで見張っていたのかもな。すべてを納得した。

ポニスってなんかやばい言葉なんだな。

こんなところで俺の人生は終わるのか・・・。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

異世界×中二病はモテモテに!? KACLA −カクラ− @kacla

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ