第2話 転生したらモテモテでした!?

見渡す限り真っ白な空間。まるで、自称AIの動画配信者の部屋のように殺風景だ。

って、あれ? おかしくないか? 俺は今さっき儀式を完遂したはずだ。

これは一体? ああ、きっと暑くて日差しにやられたんだ。せめて死ぬ前には、素晴らしい夢を見てみたいものだな。


「はいどぉも」


なんだか背後から声がして振り返る。腰までかかる髪は白く、華奢な腕に凹凸のな・・・いや、少々寂しくもある今時の国家に洗脳された個性の少ない美少女というべきか? しかし、それにしては全体から光を放っていてまるで・・・。俺は思わず彼女に向かって聞いてしまっていた。


「ここは月の都ですか?」


彼女はこちらを見てきょとんとしている。光を放っている美少女といえば、あの古代社会から日本人に愛されてきた「かぐや姫」であるとおもったのだが。

どうせ俺の幻想だ。死ぬ前に好き勝手楽しませてもらうよ。


「いいえ、ここはバグです」


バグ? あー。俺死んでいたのか。そっか。天国ってあったんだな・・・。


「つまり、俺死んだんすね」

「いいえ、生きてます」


俺の脳内はその瞬間「?」で満たされた。つまり、なんだ?


「事情を飲み込めていないようですので、順を追って説明しますね」

「は、はい」


どうしてさっきまで強気だったのに俺はこんなに弱くなってしまったんだ?


「まず、結論から言いますが、あなたの”ジャッキーアイ”? とかいう能力が原因です」


ジャッキーアイは俺の創り出した架空ののうry・・・いや、存在していた。確かに。俺の心の中にはな。


「実は、その・・・。ジャッキーアイの先ほどの変わった動作により、あなたはコンテニューしている状態なのですよ」

「と、いいますと?」

「神が設定した地上の設定したプログラムの動作になかったため、現在バグの中にいるのですよ」


で、この何も無い空間で一生暮らせってことなのか? 自信の空想の世界にしては残酷過ぎるな・・・。

まさか、これ現実なのか?


だとすると・・・。


「あなたは女神様ですか?」

「はい、そうです」


まじかーーー!! ついに、女神と話すときが・・・。


「髪は青くないんですね」

「ええ、どこかの佐藤さんと冒険してませんからね」


おおーーー!! しかもなんか会話成り立ってるし!


「あなたは女神というよりエ○リアさんのような感じがするのですが」

「いえ、どちらかというとその側近のピンク色や水色の髪をした鬼の少女の立ち位置に近いかと思います」


うおーーー!! すげー! この女神なんか物知りだ。


「質問は以上でしょうか?」


面倒くさそうに彼女は答える。


「まって。この先俺どうなるの?」

「ここで一生を過ごしていただくか、異世界へいってもらうかですね」


なにその無理矢理な展開は? まあ、異世界いけるならそれでいいけど


「じゃあ、異世界へ」

「でも、苦労が耐えませんよ?」

「大丈夫です」


心配してくれた女神様をよそに俺はもう、異世界へ行く気になっていた。


「わかりました。しかし、ここで暮らすとすれば私とほかの女神と一緒に暮らせて幸せになれると思うんですよね」

「あー。異世界よりもよさげですね」


ハーレムが確定した世界に残るか異世界で改めてハーレムを作るか。通常なら迷わず前者であると思うが、この世界ではY●UTUBERくらいしかやることがなさそうだしな・・・。

異空間系Y●UTUBERとか言ったら受けるだろうか? いや、それをするメリットがないな・・・。第一インターネットなさそうだしな・・・。


「いえ、やっぱり異世界に行きます」

「そうですか。分かりました。何か欲しいものはありますか?」


え、選べるの!? ここはやっぱ魔力か? いや、どこかの佐藤さんみたいに女神っていう選択肢もあるな。

それとも異世界で何度も死に続けて同じ時間をループしてみたりとか? きつそうだな。もっと新しいことを・・・。


「スマートフォンは異世界で使えますか?」

「ごめんなさい。次元違いますが、使っている方がいるので難しそうです」


あっさりと否定されてしまった。異世界スマートフォンとともに渡り歩きたかったのに・・・。じゃあ、ジャッキーアイを使えるようにして下さい。


「本当にそれでよろしいのですね?」

「はい」

「承りました。あなたは、今から中世の町並みが残っているような世界に転生します」

「おきまりなんですかね? その世界って」

「はい。おきまりです」


次、俺が目覚めると異世界にいた。隣にはなぜかさっきの女神・・・。どうして?《《》》

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