竜は形而上の生き物か形而下の生き物か

太守の追手から塩の荒野に逃げ込んだ女魔術師と連れの傭兵。
逃げ込んだ砂漠に現れる城邑の大門。
竜とはどのような存在か、果たして。
また、追手たちが味わう恐怖の元とは。
魔術師カッシアと傭兵ウラジミールが司直の手から逃げる羽目になった事件は言及されることなく、仄めかされているばかり。

挿話があちこちに記され、壮大な千一夜を感じさせる、
精緻に幻想的に綴られた美しい推敲のあと。
すばらしく色気のある、怪奇冒険譚である。