第10話
区切りの第10話。引き続き施設でのお話しをどーぞ。
「おはようございます~」
「おはようさん。今日も相変わらずしんどいわー」
と、顔をしかめて言うあっちこっちさん。
「血圧、体温はすごくいい感じですよー。」
「そうか?でもそれはウソや!ほんまの血圧ではない。なぜならこんなにしんどいから!」
「え?ウソ?じゃ、もう1度。…………やはりちょうどいい感じなんですけどね…」
「んーーーそれならちょっと起きてみよか?」
「はい!起きて顔洗って歯磨きしましょう!」
「なんやあんたは元気やな……やる気なくすわ……」
よっこらしょ!!
「良かったですね。今朝は起きれて。お顔も元気そうですよー。この調子ならお昼も大丈夫そうですね。」
「いや、昼も起き上がる約束は出来ないわ。」
「どーしてですか?」
「当たり前やんか!約束は出来ないんや。約束は大事やからな。約束してしまうと起きれなかった時困るやろ?だから!約束は出来ません。」
「そ、そうですか。約束はカンタンにするものじゃないんですね。よくわかりました。」
さて、次のお部屋へ。
コンコンコン!
「おはようございます。おっさむささん。」
「おおおぉーあなたが来てくれて良かったよー」
「覚えてて下さったんですか?おっさむささん。私5日間も休みだったのに。」
「もっちろん覚えてますよ。あなたはヤスさんだ。」
「そうですそうです!嬉しいです。」
「いや、嬉しいのはボクの方です。朝からあなたのお顔が見れるとは。今日はいい1日になりそうです。」
「ありがとうございます。さぁ、食堂に行きましょうか。」
「食堂?ボクは行かないよ。」
「朝ごはん食べに行きましょう。」
「いや、ボクは行かないンだよ。」
「お願いだから行きましょう。」
「いくらあなたの頼みでも行きません。絶対!行かないンだよ。悪いが帰って下さい。」
これ以上居るとパンチが飛んできそうだったので・・・
「失礼します……」
ごはんついでに
「さぁ!お昼ご飯ですよー食堂におりましょうか?」
「うーん、しんどいなーしんどいわーどうしょうかな?」
「あ!今、どーしょうかな?って言いました?言いましたね?どーしょうかな?って迷ってますね?迷ってるって事は行けますね。
じゃあ行きましょう!車イスに乗りましょう。」
「あら!しまった……私、どーしょうかな?なんて言ったの?」
「言いました。聞きました。さぁ行きましょう!」
「もう、仕方ないなーじゃあ自分で車イス乗るから待ってて。」
「えーーー!!ご自分で車イス乗りますか?そう言いましたね?スゴイ!!じゃあ乗りましょう。」
「あら!またまた失言………自分で乗るなんて………確かに言ったわね。わたし………今言っちゃった………なんでそんな事言っちゃったんだろ?」
「その前に!冷蔵庫の中の水取ってちょうだい。」
「冷蔵庫?」
「そう!そこの壁のそばにあるでしょ?」
「壁のそば?」
「そう!あなたのスグ後ろ!」
「私のスグ後ろ?」
「もう!いちいち繰り返さない!」
「私の後ろにはないんです。冷蔵庫……壁だけです。」
「壁の下よ!下!」
「壁のそばにも下にも冷蔵庫はないんです……壁の下は壁です。」
「じゃあベットの下の引き出しあけて」
「ベットの下の引き出し?」
「もう!それや!そこや!そこ!」
「……引き出しないんです……」
「だからベットの横!下!」
「ないんです…」
「あんた……まさか引き出し見えないの?」
「見えません……」
「なんとまぁ………あなた………かわいそうに………まだお若いのに………見えへんの………」
「あ………すっ、すみません。」
Happyend ハヤシ スカイ @0909yu
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。Happyendの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます