Epilogue.

─────────── 最初は、ただのクラスメイトだとしか思っていなかった。


彼女 ───三条 星さん。友達がたくさんいて、よく笑う人。友達が全くいない自分とは、無縁の存在だと思っていた。


俺は、昔から愛想笑いが得意だった。にこにこして、周りの目を気にして過ごしていた。そこそこ顔がいい(自分でいうのもなんだが) 俺は、たくさんの人に好かれた。だが、そんな上っ面だけの自分を心から好きになってくれる人なんて、存在しなかった。そのことに気づいた時から、笑うことを止めた。


誰かに嫌われる運命なら、誰にも好かれない方がいい。そう心から思った。


そんな自分だからだったのか、俺はある日三条さんに違和感を覚えた。


何気なく見ていた彼女の笑顔。


今まで普通だと思っていた笑顔。


それが、彼女の顔に張り付いた仮面のように見えたのだ。





もしかしたら、彼女は俺と似ているのかもしれない?


もしかしたら、彼女は笑顔の裏で助けてって言っているのか?


もしかしたら、そんな彼女を、俺なら救えるのか…………?





そんなきっかけ。ただそれだけで、俺は彼女のことが気になってしょうがなかった。


だから、実行委員の話が出た時は迷わず手を挙げていた(三条さんはすごく嫌な顔をしていたので地味にショックを受けた)。



三条さんの友達の花さんは、俺の気持ちに気づいたのか、いつもニヤニヤした視線を送ってきていた(ちょっと引いた)。



君の本当の笑顔はどんな顔なんだろう。


いつもそう思っていた。


そして、その笑顔を俺だけに見せてほしい。

そう思っていた。



笑顔だけじゃない。泣き顔も怒った顔も照れた顔も。たくさんの表情かおを見せてほしい。







だからさ、









「だ、大好きです!!!!!!!!」












なんて、真っ赤な顔して言う君を見れた俺は

ほんとに幸せ者だって、思うんだ。







俺も、この子の前ならきっと心から笑える。



不器用で、優しくて、そして、


笑顔がとっても素敵な君の前なら。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

君が笑うとき。 Hase. @Over_sky20

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ