5-アドルフォスの研究

研究所の奥のトビラを開くと血痕が飛び散っていた。周りには研究資料が散らばっていた。部屋の一番奥のデスクには論文が飛び散っていた。


これでこうすけの仮設だった推理が確定した。ダニエルがすぐに鑑識をというとすぐさまこうすけがやめとけと釘をさした


「ここまでとっつあん達は解らなかったかもしれないが、ここまではトラップが山のようにあったから、大勢人が入ったら死人が大量に出る。これまで慎重に来たから辞めた方がいいと思うぞ。それよりここの資料を全部持って帰ろう。」


「つったってこの量だぜ。持って帰れねえよ。」とロックが言った。


任せろ。とこうすけが言ってひもで縛ってある袋を取りだした。

「吸い込め」とこうすけが叫ぶと研究所中の書物とファイルが皮袋に吸い込まれた。

「実験成功、どうだとっつあんこれで後はこれらを調べれば何か解るぜ」


「いや、それは解るんだが」

成果を上げたのはいい。ただダニエルには突っ込みたいことがあった。

「実験?って言わなかったかおい」


「死ぬほど気のせいだ」とこうすけが軽く答える。


一方絵里は

「すごい何ですか今のは?」と好奇心満々でこうすけに聞いた。


「ああ、お前は魔具は初めてだっけ、魔道端末ターミナルから出てくる装備の事は話したよな。」

「はい、魔道端末ターミナルを利用して自分の魔力を魔力物質エーテルにして、それを自分の体に合わせて装備できるよう魔法金属ミスリルに加工するようにプログラムをセットする」


「そういうこと、でこれは自分の魔力を魔力物質エーテルにして既存の道具を加工したもの魔具だ。魔力が無くても使えるものだから、魔法使いでなくても使えるってことさ。でこれは空間をゆがめる魔法をかけて加工した特性の皮袋。たくさんの資料を持っていく時便利なものだ」


「それはいいけどここの部屋を鑑識に調べさせたいんだが」とダニエルがいったが

守が異議を唱える。「いや、犯人はそういった証拠を一切消しているだろうし、それに・・・ここには長くいない方がいい」


守が危険を宣言した瞬間、警報がなった。「侵入者です。迎撃用の使い魔を発進させます」


その時部屋に大きな魔法陣が現れ、巨大な魔物が現れた。

「うそでしょ。これは」

「こんなものがあるなんて」

信じられないものを見る目でカガリとフブキは驚愕した。


絵里は

「どういうことですか?」


こうすけはそれに対して、武器を構えながら答える。

「動物同士の合成獣キメラ認められてるんだ。動物保護団体からはクレームの嵐だがね」

「だがを使った合成獣キメラは国際法においても認められない。」


「これが人間・・・?」

腕が6本生えライオンの頭をしているがベースになっているのは確かに人間だった。

絵里はこうすけ達以外で人間を相手したことがない。


しかもよりによって恐らく相手は何の罪もない一般人を改造した元人間の魔物だった。そして事前にこうすけから残酷な説明を受けていた。合成獣キメラに改造されたものは決して元の形には戻れない。


「ここに赤い液体と青い液体があるとする、こいつを混ぜると紫色の液体が出来るわけだが、混ぜた紫色の液体を赤の液体と青の液体に分割することはできない。」


そして国際法上、この生き物の存在は存在そのものがゆるされない。つまりこの目の前にいる生き物は自分の手で殺すか、他の機関に任せて殺処分するしかないわけだが、目の前の生き物は殺気を向きだしにしていた。つまり殺さなければ殺される。


それにも関わらず、絵里は震えて動けないでいた。勇者として、正義の味方としてのありかたをまっとうするなら、目の前の生物は殺さなければいけない。しかし、相手は人間だ。何度彼女を救って死んでいった人間を観て、死になれたつもりでも人を殺す覚悟なんてまるで出来なかった。


こうすけが絵里を視てダニエルとロックに絵里を連れて逃げろ

という前に


「・・・うわわあわあわわあ・・」

と叫びを挙げて絵里はキメラに突進した。力はあるが鈍重な動きをしているキメラに次々に斬撃を浴びせた。相手がひるんだところを「ヴァスティン」赤のAランクの魔法を放ち、壁まで吹き飛ばした。


あまりの猛攻に誰も声が出せなかった。

「はあ、はあ・・・」一期に魔力を消耗したせいか、それとも自分の心を殺して無理にペース配分を無視して攻めたせいか息を切らしている。


そして壁に横たわって弱ったキメラの前に絵里が立ちふさがる。

もう終わりにしなくちゃいけない、終わらせなきゃいけない。そんな思いで剣を逆手でもってキメラを突き刺そうとする。


駄目だここで彼女に殺しを経験させちゃいけない。こんな感情で殺しをしたら自分たちと同じ道に走る。それでも絵里は止まらない。呼吸を整え剣を突き刺した


高速で月絶たれるはずの彼女の剣はキメラの体の前で突き刺さる直前で止まった。

涙を流して

「駄目です。私、殺せません・・・」


その瞬間体が再生したキメラの攻撃が絵里を襲う。死ぬ。自分がためらったせいで

しかしそのキメラの爪は絵里には当たらなかった。


「へへ、ぎりぎりだったね」と

フブキがキメラの爪に突き刺さっていたからだ。

「フブキ君・・・・・」信じられない顔をする絵里。


その隙を狙って守の槍がキメラを突き刺し、こうすけとカガリの魔法でキメラは闇に飲まれ消滅した。

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さくらだファミリア 徳田吉信 @ginnneko13

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