郗超12 范啓はクソ1  

范啓はんけい郗超ちちょうに手紙を書いている。

簡文かんぶんさまの前で王坦之おうたんしとじゃれ合った人だ。


王献之おうけんしの振る舞いには

 彩りというものが欠けているとは

 思わんかね、なぁ?


 あれでは一皮むいたところで、

 その内側に潤いなど

 あったものでもあるまい」


すると郗超、返事する。


「かもしれんな。

 ところでそれは振る舞いが

 せせこましく、こざかしい奴と較べて

 どうなんだろうな?」


范啓の性格が傲慢で、

しかもいろいろこざかしいのを

嘲ったのだ。




范啟與郗嘉賓書曰:「子敬舉體無饒縱,掇皮無餘潤。」郗答曰:「舉體無餘潤,何如舉體非真者?」范性矜假多煩,故嘲之。


范啟は郗嘉賓に書を與えて曰く:「子敬が舉體に饒縱無し、皮を掇かば餘潤無し」と。郗は答えて曰く:「舉體に餘潤無かりせるは、舉體の真に非ざる者とで何如?」と。范の性の矜假なるに煩の多かれば、故に之を嘲くる。


(排調50)




范啓さんは簡文27

https://kakuyomu.jp/works/1177354054884883338/episodes/1177354054885686964

参照。


しかし悪口しか言ってねえなこの人。


ちなみに謝安さまが王坦之パパの王述おうじゅつについて「掇皮皆真」

https://kakuyomu.jp/works/1177354054884883338/episodes/1177354054886797669

と言っているところから引くと、范啓さんが太原たいげん王氏派だったんだな、というのが見えてくる。

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