感情の超新星

1人の大学生の話。
たったこれだけでこんなにものめり込んでしまうのは、人の形の無い感情がまるで超新星のように様々な要因によって大爆発を起こし、そして新しい物に生まれ変わっていくという、とても不思議で壮大なひとつの物語であるから。
そして、それが非常に高いレベルの文章と秀逸な視点で表現されているのがこの作品の最大の魅力。
とは言え、小難しい言葉は一切使われておらず、些細な出来事、その一瞬についてどこまでも遠く、深く読み解きながらも、自然と手元に帰ってくるような安定感、そこに生まれる強い共感が心地良い。
心のバイブルとも呼べるような、人の行動原理の奥深さを気付かせてくれる物語です。