超世界転生エグゾドライブ -激闘！異世界全日本大会編-

付録

本編登場Cメモリ一覧

《注意》　この一覧には、本編の結末に関わるネタバレを含みます。

　C（チート）メモリとは、ドライブリンカーが出力するC（チート）スキルの発動形態を決定する、全長8cm程度の小型電子メモリである。玩具屋やデパート、一部のコンビニなどで購入することができ、1本ごとの価格は約300円～500円程度。複数本がパッケージになったスターターセット等も流通している。販売元は日本国内ではほぼ100%がWRAだが、諸外国ではWRA以外の企業がライセンス生産を行っている例も少数存在する。

　C（チート）メモリ自体はドライブリンカーに決められた情報入力を行う単なる電子部品に過ぎないため、電子工作の技術及び異世界転生（エグゾドライブ）の解析知識があれば、個人による自作及び量産も可能。事実、そのようにしてWRA以外の者が製造した不正規（イレギュラー）メモリが作中世界にも多数存在しており、アンチクトンの用いるD（ダーク）メモリなどは、その全てが不正規（イレギュラー）メモリである。

　一度の転生（ドライブ）に使用できるC（チート）メモリ本数は、オープンスロット3本及び、シークレットスロット1本。これらのC（チート）メモリは転生（ドライブ）と同時にドライブリンカーの構成要素として認識されるため、転生（ドライブ）後の異世界で一度装填されたC（チート）メモリを換装することはできない。彼ら転生者（ドライバー）は、4つのC（チート）スキルに異世界の人生を託し、勝負を挑むのだ。

■C（チート）メモリ

作中世界で最も普遍的に見受けられるメモリであり、C（チート）メモリの名称は、D（ダーク）メモリ等も含めた広義の俗称としても用いられる。市場に一般流通しているものは、C（チート）スキルの挙動が完全に解析されており、かつ異世界で使用した際の安全性をWRAが認定したものに限られる。

【超絶成長（ハイパーグロウス）】

主に身体能力に関するスキルの成長倍率を大幅に上昇する。また、身体能力に関するスキルの成長上限がなくなる。単純かつ強力なC（チート）メモリであり、基本のハイパー系三種の一つである。主な使用者は剣（つるぎ）タツヤ。

【超絶知識（ハイパーナレッジ）】

主に知的能力に関するスキルの成長倍率を大幅に上昇する。また、知的能力に関するスキルの成長上限がなくなる。単純かつ強力なC（チート）メモリであり、基本のハイパー系三種の一つである。

【超絶交渉（ハイパーコミュ）】

主に対人能力に関するスキルの成長倍率を大幅に上昇する。また、対人能力に関するスキルの成長上限がなくなる。単純かつ強力なC（チート）メモリであり、基本のハイパー系三種の一つである。

【全種適正（オールマイティ）】

本来のスキルツリーを無視して、あらゆる通常スキルを直接習得することができる。上位スキルも直接習得することが可能だが、同等の上位スキルの作成が可能なIP量に到達している必要がある。

【実力偽装（Eランカー）】

異世界人、及び転生者（ドライバー）から侮られることを可能とする。偽装が確実であれば、実力の落差によるIP取得倍率ボーナスを常に得られる。IP獲得言動は、自身のランクの低さをアピールすること。

【酒池肉林（ハーレムマスター）】

恋人、配偶者などを無限に占有でき、また、それらの喪失を未然に防止する。不協和や死別などの不都合を解消し、使用者が望む限りハーレムを維持することができる。

【絶対探知（フラグサーチ）】

限定的な未来予知によって、世界各地のイベント発生条件を察知する。ただし、イベントの結末までを察知することはできない。多くの戦略に噛み合い、目立った弱点も少ない優秀なC（チート）メモリ。

【後付設定（サプライズ）】

一度の転生（ドライブ）で一度しか起動できない単発発動型。自分自身の設定を変更し、スキルランクをそのままに任意の類似スキルを再習得する。奇襲性が高く、シークレットメモリとして用いる者が多い。

【不労所得（パラサイト）】

周囲の者が獲得した経験点の一部を自動的に徴収する。割合はごく僅かで、自らのスキルツリーに合致する経験点しか加算されないが、修行に要する時間を別の事業に回せるマルチタスク性が大きな強み。

【弱小技能（ウルトラレア）】

転生（ドライブ）開始時に、ランダムで一つの弱小スキルを取得する。このスキルは経験点効率、上限ランク、スキル分岐等が全て最大値に設定されており、最終的に極めて強力なスキルへと成長する。主な使用者は外江（とのえ）ハヅキ。

【経済革命（エコノミカルR）】

世界全体の社会構造に働きかけ、望む形の経済形態を実現する。革命の過程を補助するのではなく、あくまで革命で到達する完成形を保障するC（チート）メモリである。R系メモリ三種の一つ。

【産業革命（インダストリアルR）】

世界全体の社会構造に働きかけ、望む形の産業形態を実現する。革命の過程を補助するのではなく、あくまで革命で到達する完成形を保障するC（チート）メモリである。R系メモリ三種の一つ。

【政治革命（ポリティカルR）】

世界全体の社会構造に働きかけ、望む形の政治形態を実現する。革命の過程を補助するのではなく、あくまで革命で到達する完成形を保障するC（チート）メモリである。R系メモリ三種の一つ。

【倫理革命（モラルR）】

流通禁止メモリ。世に知られることのないR系メモリの四種目であり、世界全体の社会構造に働きかけ、望む形の価値観や正義概念を植えつける、非人道的C（チート）メモリ。エル・ディレクスの所有する一本のみがこの世界に存在する。

【運命拒絶（セーブ＆リセット）】

発動することで、セーブを行った任意の時点にまで世界全体の時間を遡行させる。転生者（ドライバー）の記憶はリセットされず、発動のたびに遡行時間の長さに比例した大量のIPを消費する。

【兵站運用（リソースフリー）】

食料、資源などを自身の勢力に分配する。需要に対する供給が明らかに足りなかったとしても、十分な量を分配可能。IP獲得言動は、兵站や資源管理の重要性について語ること。

【無敵軍団（ネームドフォース）】

最大十名程度の配下や味方を強化し、スキルランクにボーナスを与える。他者強化系メモリの中では強化総量が最も大きいが、その反面、死亡や脱落を完全に防止できるわけではない。

【器物転生（アイテムモーフ）】

本編未使用。知性持つ武器やアクセサリーといった無機物に転生（ドライブ）し、現地の協力者に自らを使用させる。【英雄育成（トップブリーダー）】とのコンボが有名だが、協力者の性質は運に頼るところが多く、ピーキーな転生（ドライブ）になりやすい。

【集団勇者（フラッシュモブ）】

大集団が転生（ドライブ）したという設定で、擬似C（チート）スキルを保有するNPCを30～40人ほど生成する。彼らの性質は一様に粗暴かつ愚劣で、使用者を排斥する傾向が強い。倒すことで大量のIPを獲得可能。

【令嬢転生（マイ・フェアレディ）】

初期条件型のC（チート）メモリ。上流階級の令嬢に転生（ドライブ）する。地位上も教育上も、内政型戦略に非常に有利な状態から転生（ドライブ）を開始できる。主な使用者は黒木田（くろきだ）レイ。

【不朽不滅（エバーグリーン）】

あらゆるご都合主義によって、死亡や退場、致命的な負傷を回避する。対戦相手の直接攻撃（ダイレクトアタック）戦術を一本だけで完封可能だが、それ以外の戦術に対してはほぼ無意味な対策専用メモリ。

【達人転生（スタートダッシュ）】

何らかの達人が転生（ドライブ）したという設定で、複数の高ランクスキルを取得した状態から転生（ドライブ）を開始できる。これらのスキルは上限ランクが玉石混交であり、終盤まで運用できるスキルは少ない。

【針小棒大（バタフライ）】

自分より格上の者が功績を成し遂げた時、それが自分の功績であると周囲に思い込ませ、その者が得られるはずだったIPを全て強奪する。IP獲得言動は、謙遜のようにも聞こえる曖昧な否定。

【複製生産（パイレート）】

流通禁止メモリ。元となる物品がある限り、如何なるオーパーツであろうと、機能を保ったまま大量に複製できる。ごく普通のC（チート）メモリだが、ある理由で最も世に出してはならないメモリである。エル・ディレクスの所有する一本のみがこの世界に存在する。

【正体秘匿（アンノウン）】

自身の正体を完全に隠蔽し、対戦相手の転生者（ドライバー）からも看破不能の架空の身分を纏う。スキル表示も偽装可能だが実際に使えるようになるわけではなく、既に存在する者を装うこともできない。

【英雄育成（トップブリーダー）】

対象一人を教育、育成することで、ハイパー系に等しい効率でスキルを成長させる。対象範囲が狭く育成の手間はかかるものの、現地の異世界人すら、転生者（ドライバー）を凌駕するレベルにまで強化することも可能。

【王族転生（ブルーブラッド）】

本編未使用。初期条件型のC（チート）メモリ。王族に転生（ドライブ）する。内政型としては最高レベルの初期条件で開始することができるが、王族という立場上、取り得る戦術の幅も狭まる。初心者向きの内政メモリと言える。

【不正改竄（ツールアシスト）】

不正規（イレギュラー）メモリ。解析した世界法則を元に異常な挙動を行うことで、ボスの消滅や座標変更等の望む結果を直接に呼び出す。扱いには凄まじい知識と熟練が必要であり、大葉（おおば）ルドウの所有する一本のみがこの世界に存在する。主な使用者は大葉（おおば）ルドウ。

【基本設定（ベーシック）】

WRA重要機密。最も無敵にして恐るべきC（チート）メモリ。知る者は限られているが、ドライブリンカー内部の五つ目のコネクタに組み込み済みの状態で装填されている。異世界に転生（ドライブ）した者から真の人生を生きているという自覚を奪い、非人間的な努力と精神力の発揮を可能とする。

■D（ダーク）メモリ

『異世界転生（エグゾドライブ）は異世界を滅ぼし得る危険な遊戯』という事実を喧伝し、また異世界人類の滅亡によるエネルギー回収を目論む危険集団、アンチクトンが開発した不正規（イレギュラー）メモリ群。規格や挙動こそ通常のC（チート）メモリと同様であるが、これらのD（ダーク）メモリは、WRAが敢えて流通させることのない、『人類への敵対行為によるIP獲得』という条件変更が含まれるメモリである。

【魔王転生（ダークネス・ドライブ）】

最初期型のD（ダーク）メモリ。IP獲得条件を逆転し、人類への敵対行為によってIPを獲得できるようになる。他の機能を殆ど持たず、後発のD（ダーク）メモリが多く開発された現状、このメモリを敢えて使用する理由は少ない。主な使用者は鬼束（おにづか）テンマ。

【人外転生（クリーチャー・エボルブ）】

初期条件型のD（ダーク）メモリ。魔族に転生（ドライブ）する。転生（ドライブ）先は最底辺の種族からランダムに選ばれるが、成長に従い際限なく進化し、人間への転生（ドライブ）ではあり得ない上位スキル、特殊スキルを多数習得していくことが最大の特徴。主な使用者は銅（あかがね）ルキ。

【悪役令嬢（ネガ・フェアレディ）】

条件固定型のD（ダーク）メモリ。上流階級の令嬢に転生（ドライブ）した上でその世界のイベントを強制スキップし、王族からの婚約破棄イベントを敵味方にとって最初のイベントとして引き起こす。その性質上、内政型以外の戦術をほぼ封殺する、内政型最強のD（ダーク）メモリ。主な使用者は黒木田（くろきだ）レイ。

【巨竜転生（ドラゴンフォーム）】

本編未使用。初期条件型のD（ダーク）メモリ。ドラゴンに転生（ドライブ）する。転生（ドライブ）の開始時点からその姿に相応しい強大な基礎スペックを備えるが、実際には直接戦闘型以外における運用こそがその真骨頂であるという。

【追放勇者（エグザイルド）】

本編未使用。条件固定型のD（ダーク）メモリ。魔王の討伐と国家からの追放という超大規模な固定イベントを発生させる、最強クラスのメモリ。鬼束（おにづか）テンマは、当初このD（ダーク）メモリの適合者として目されていたという。

■X（ゼノ）メモリ

異世界からの転生者（ドライバー）である、ニャルゾウィグジイィ及びヨグォノメースクュアが使用したメモリ群。こちらの世界のC（チート）メモリとは異なり、ゲームとしての成立を考慮しない、極めて直接的な成果を得るメモリが多い。異世界滅亡のための事業用と、それに伴う異世界生活の福利厚生用のメモリで構成されている。

【異界鑑賞（CODE0003）】

使用者の転生者（ドライバー）を観測する上位世界の情報を直接得る。本来は自分自身のステータス管理のためのX（ゼノ）メモリであり、異世界に転生（ドライブ）しながら元の世界と通信することすらできるという。

【異界肉体（CODE0010）】

最強の身体性能を獲得する。殆どの単純暴力脅威を自分自身の攻撃性能のみで撃破可能であり、あらゆる手段で傷つけられないほぼ不死身の防御性能も獲得する。異世界における生存保証のX（ゼノ）メモリ。

【異界王権（CODE0032）】

政治における最高権力を獲得する。使用者の命じたどのような指示でも、国家がそれを実現するために動く。異世界の社会形態に関わらず最上位の人生を歩むことができる、生活保障のX（ゼノ）メモリ。

【異界軍勢（CODE0832）】

果てしなく増殖する影の兵団を生み出す。影の兵士は自らの影からも兵士を生み出し、無限の物量と化して世界を滅亡させる。エネルギー回収のための世界滅亡事業に不可欠のX（ゼノ）メモリの一つ。

【異界財力（CODE1020）】

無限の財力を獲得する。使用者はどれほどの浪費を重ねても資金が尽きることはない。X（ゼノ）メモリの中では最も通常のC（チート）メモリと近く、【兵站運用（リソースフリー）】との類似点が見られる。生活保障のX（ゼノ）メモリ。

【異界災厄（CODE5133）】

災厄を生み出し、任意の地点を破壊することができる。【異界軍勢（CODE0832）】のサポートとして、特定の脅威を直接排除するためのX（ゼノ）メモリ。最大発動すれば大陸単位を沈めることが可能。

【基本設定（ベーシック）（X)】

正式名称不明。異世界における【基本設定（ベーシック）】に相当するメモリ。異世界転生（エグゾドライブ）からの精神の保護という関係上、基本的な機能は同様と思われるが、こちらのメモリにはそれに加えて、世界を滅ぼすことへの罪悪感や良心を鈍麻させ、どのような者にも効率的にエネルギー回収の事業を遂行させる機能が備わっていると推測される。

■R（リアル）メモリ

転生（ドライブ）先の異世界ではなく、この現実世界で運用するためにドライブリンカー開発チームが生み出したメモリ群。性質上、極めて限られた関係者のみが所有し、異世界転生（エグゾドライブ）で使用しても一切の効果を表さない。

【世界解放（オーバードライブ）】

純岡（すみおか）シトが物語開始以前から所有する謎のメモリ。異世界から回収したポテンシャルをチャージし、この世界で運用可能なIPとして変換、現実世界でドライブリンカーを活性化する。純岡（すみおか）シトのものがオリジナルであり、アンチクトンが保有するものは一人分のポテンシャル容量しか持たない簡易量産型である。

【例外処理（カテゴリエラー）】

エル・ディレクスが長い年月をかけて開発した、二本目のR（リアル）メモリ。使用者をあらゆるC（チート）メモリの対象から除外する。限定的ながら強力な切札として運用された。