不整脈で保険に入りにくい

 修士1年のときの健康診断で、不整脈が見つかって循環器じゅんかんき科を受診。

 「24時間ホルター心電図検査」(小さな記録機を身体に着けて、丸一日普通に生活する)などを受けた結果、「心室性しんしつせい期外収縮きがいしゅうしゅくで、特に治療の必要はない」と診断された。


 医学的な知識は全くないので専門サイトの受け売りだが、期外収縮とは、心臓が通常のリズム以外で収縮して、脈が乱れたり飛んだりすること。発生場所によって上室性じょうしつせいと心室性があるが、多くの健康な成人にみられるもので、他の心臓病を伴っていなければ、放置しておいて問題ないらしい。


参考サイト: 循環器専門施設草津ハートセンター

「不整脈 | 病気と治療方法」

http://www.kusatsu-heartcenter.co.jp/type3.php


 治療の必要はないが、学校・職場で心電図検査を受けるたびに、はっきり不整脈が出て指摘される。自覚症状ないんだけどなぁ。検査機に自動で「シンシツセイキガイシュウシュク」と印字されたときは、ちょっと笑った。

 しかし就職してから、医療保険に入ろうと思って電話で問い合わせると、不整脈と言ったら大抵断られる。結局、結婚後に夫の配偶者枠で入れるものに加入させてもらった。


   ◇


 結婚前の話。

 献血ルームに行ったら、骨髄こつずいバンクのドナーに登録しないかと声をかけられた。献血と一緒に、HLAエイチエルエー型検査用の採血をするのだ。

(Human Leukocyte Antigen=ヒト白血球はっけつきゅう抗原こうげん。造血機能に問題がある患者さんに、HLA型が適合てきごうするドナーから骨髄を移植して治療する)

 当時、不整脈で保険に蹴られまくっている身である。既往症きおうしょう化膿性かのうせい髄膜炎ずいまくえんもあるし、何となく「採血しても登録無理かも……」とは思っていた。本人は全く覚えていないが、髄膜炎で入院中、何か背骨に注射していたらしいんだよね。


(今調べたら、細菌性か無菌性かを確定させるための、腰椎ようつい穿刺せんしによる脳脊髄液のうせきずいえき検査だったのではないかと。骨髄ドナーは大きな腰の骨(腸骨ちょうこつ)から「骨髄液こつずいえき」を採取するので、場所が違うようだ)


 ともあれ、ありのまま記入して書類出しても、別に問題なかったようで。登録後、割とすぐに「患者さんとHLA型が適合した」旨の通知が届いた。

 提供までの流れでは、このあと医療機関へ確認検査を受けに行くのだが。

 適合通知に同封されていた、「検査日はいつがいいか」や健康状態に関するアンケートを記入し、循環器科でもらった心電図のコピーも付けて返送すると、バンクから再び封書が届いた。

(正確な文言は忘れたため、下記は超意訳……)


・骨髄採取のために全身麻酔をかけると、に影響が出る可能性があるため、ドナーにはなれない。

・確認検査は行わない。今の段階で、ドナー登録は抹消する。


 聴力! 耳なの!?

 問題があるなら心臓だと思っていたので、耳とは意外だった……。

 どのように影響を及ぼすのかよくわからないものの、とにかく、私に全身麻酔はまずいらしい。


 現在、骨髄バンクのサイトに掲載されている、ドナーになれない人の条件を見ると、「循環器疾患しっかん」の欄に「心室性期外収縮」はある。頻度ひんどによるみたいだけど。

 全身麻酔云々は見当たらないので、結局未だに理解していない。


参考サイト: 日本骨髄バンク

「ドナー登録をご遠慮いただいている疾患や既往歴」

http://www.jmdp.or.jp/reg/about/d.html


(当時は、全身麻酔による骨髄採取しかなかったけれど。

 今は、「末梢血まっしょうけつ幹細胞かんさいぼう」の提供もあるんだね。初めて知った)


   ◇


 将来、全身麻酔が必要な病気になったら困るかなぁ、と思いつつ、現在のほほんと暮らしている。医療保険のお世話になる事態も起きていない。

 書きたいことは大体書いたので、これで、本エッセイは終了します。最後までお付き合いくださり、有難うございました。


【完】

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モノラルと2Dの国 卯月 @auduki

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