第344話 ナイツ&マジック(2017年)

※これは本日3話目になります。


 2018年1月1日の開始から、中断も含めてちょうど二年間続けて参りました当エッセイも、とうとう最終回となりました。今回のお題は「小説家になろう」発の小説が原作の作品『ナイツ&マジック』となります。本作の原作は、私が「なろう」で読み始めて、初めて書籍版を買った作品になります。それ以前に買った二作品は書店で見かけて買ったものが「なろう」発だと知って「なろう」を見始めるきっかけになった作品なんですね。


 なので、本作がアニメ化されると聞いて「これだけは見るべきだろう」と思い、もうほとんどアニメを見ていなかったのに、これだけは全話録画して最後まで見通しました。ですから、本作は私にとって最後の巨大ロボットアニメのみならず、最後まで全話見通した最後のTVアニメでもあるのです。


 本作のロボについては、もはや何も言うことはないです。「シルエットナイト」と呼ばれるファンタジーロボなのですが、こいつらが動いているということだけで感動ものでしたから。プラモも出たみたいなんですよね。買ってはいませんが。


 ……と書いたのですが、プラモではなく「ROBOT魂」のアクションフィギュアでした。「なろう」の感想欄でご指摘いただいたポンスケ様、ありがとうございました。


 キャラについては、ほぼ原作小説のイラストや、それから派生したコミカライズ版に忠実にデザインされており、こちらもまったく問題はありません。女性キャラ率が低いのですが、もともと原作のときから低いからなあ(笑)。


 そして、ストーリーについてなのですが……これは放送当時には物議をかもしましたね。何しろ、超高速展開ですから(笑)。原作小説で5巻までの部分を、無理矢理一クール全十三話に押し込めてるものだから、展開が早すぎるという。


 原作のセリフとかもなるべく使いたいという意図は分かるのですが、展開上省くべきセリフまで無理矢理ブチ込んでるので、設定に合わないセリフがあったりするのですよ。原作では主人公の「エル(エルネスティ・エチェバルリア)」が「闇討ちしましょうか?」みたいに言う相手は、ヒロイン「アディ(アデルトルート・オルター)」&親友「キッド(アーキッド・オルター)」(この二人は二卵性双生児)の「ダメ兄」だったのですが、このダメ兄が完全に登場をオミットされたので「優しい姉」に対して言ってしまっているんですね。このあたりは、超展開に伴う違和感がどうしてもぬぐえませんでした。


 しかしながら、最終盤を見て、私はこの超高速展開を許すことにしました。なぜなら、文庫版5巻までのストーリー(「大西域ウエスタン・グランド戦争ストーム」終了まで)を入れることで、ラスボスが「飛竜戦艦ヴィーヴィル」になったからです。


 このヴィーヴィルと、主役ロボ「イカルガ」との空中戦にはメチャクチャ痺れたんですよ!


 ヴィーヴィルは外見が竜型の飛行戦艦で、イカルガは飛行可能な人型ロボなんですが、イカルガが高速機動しながらヴィーヴィルに迫るシーンにおいて、ヴィーヴィルから打ち上げられる対空法火(本作はファンタジー世界が舞台なので、遠距離攻撃は攻撃魔法となり、作中では「法撃」と呼ばれています)が、ムチャクチャに「パルスレーザー」感があるという。


 いやー、あのシーンを見たときには、脳内で『宇宙戦艦ヤマト』のコスモタイガー隊空戦シーンのBGMが流れましたね。


 あ、ちなみにヴィーヴィルは口から超強力な炎を吐くんですが、これがまた波動砲的に演出されてたんですよね。これはアニメに出ると聞いたときから、絶対そうなるだろうなとは思ってましたが(笑)。


 超高速展開になってしまったのは、一クール十三話しか作れなかったことからすると、やむを得ないかなと思います。


 それでオミットされた部分が「ロボの開発ストーリー」なんですけど、実は原作小説で一番面白い部分って、本当はそこだと私は思ってるんですよね。


 だから、「原作が好き」な人が、このアニメ版について批判的に見るのも無理はないかと思います。


 その一方で、制作スタッフが何を作りたかったかというのも、明確に伝わってくるんですよ。本作放送前に制作裏話的な内容の番宣番組もあったんですが、そこでのスタッフインタビューからも伝わってきました。


 制作スタッフは「ロボがバリバリ動く巨大ロボットアニメ」が作りたかったんです!!


 そして、これはたぶん原作者様も同じじゃないかなと思うんですよ。原作者様が「アニメ化までには随分準備をして制作スタッフとも何回も打ち合わせをした」みたいなことを書かれていたんです。


 だから、アニメ版がああいう作品になったのは、原作者様の意図も反映されていると思うんですよ。


 もうね、原作小説を読んだら、原作者様がどれだけロボスキーかってのは伝わって来るんですよ。同じロボスキーだけに、私にはよく分かります。


 だから、せっかくアニメ化の機会が来たときに、全十三話しか許されないなら、とにかくロボが活躍するシーンを多くしようという風に思ったのは、まったくもって当然のことなのかなと思うんです。


 以上のことから、私は本作は個人的に、かつ絶対的に「名作」だと思っています。いやまあ、見る人を選ぶ作品ではあるんですが。一見さんだと、原作小説とかコミカライズ版を読んで補完しないと展開が早すぎるだろうなとは思いますし。


 あと、本作の主題歌はオープニングもエンディングも気に入っています。オープニングの歌は「巨大ロボットアニメに合わない」という説も読みましたが「ファンタジーアニメ」なら似合っていると思いますし、絵についても話が進むにつれて加筆されたり、ロボの効果音が追加されたりと、スタッフの愛情がどんどん暴走しているのが見えて楽しかったです(笑)。


 エンディングはアディがひたすら走っているという、どう考えても『ゼータ』のエンディングをモチーフにしただろうって絵面なんですが、後ろを登場ロボが横切っていくのが「スタッフ分かってるなあ」と思わせるという。歌詞もアディの心情ってこんな感じだろうなあという歌で、エンディングには似合ってるんじゃないかと思いました。


 最後にひとつ小ネタを。本作って書籍版以降は『ナイツ&マジック』ってカタカナタイトルになっているんですが、「なろう」掲載の原作は現在でも『Night’s & Magic』と英語表記なんです。これ、英語で書かないと元ネタが『Might & Magic』(日本語版表記『マイト・アンド・マジック』)って米国製コンピュータRPGだってことが分からないんですよね(笑)。


 なお、本作の原作小説は今も「なろう」で絶賛連載中ですし、コミカライズ版も順調に巻を重ねています。興味がわいたのでしたら、お読みいただければと思います。


 さて、今回まで全344話90万字超の長きにわたって続けて参りました当エッセイも、今回をもちまして最終回となります。私が見続けてきた巨大ロボットアニメや特撮のストックが無くなったからです。書き始めた当初から、最後は本作で終わろうと思っておりました。


 途中で何回か中断もはさみましたし、毎日更新から週一更新に更新頻度も落としましたが、とにかく初期構想の最後まで完走できたのは、読んでくださった皆様の応援のおかげです。感想欄で色々情報をいただいたりしたことも多く、さまざまな見方や思い入れなども語っていただいて、楽しく交流できましたことを厚く御礼申し上げます。本当にありがとうございました。


 私が巨大ロボットアニメを見なくなったあとでも『シドニアの騎士』や『シンカリオン』など、名作と評価される巨大ロボットアニメが出てきていることは知っております。『ガンダム』も『トランスフォーマー』も、きっとまだまだ続いていくことでしょう。


 ですから、最後はこの言葉で締めたいと思います。


「巨大ロボは永久に不滅です!」

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燃えよ、ロボ魂!! 結城藍人 @aito-yu-ki

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