第3話 私的☆夢十夜 第三夜
こんな夢を見た。
私は、夏の神社に立っていた。目の前には、夏色に輝く緑の葉があった。私は、右手に錆びきった茶色の十円玉を握っていた。私は賽銭箱から、少なくとも十歩は離れた場所に立っていた。先日、春子という少女に賽銭は離れたところから、投げた方がいいと言われたからだ。私は、もう一歩下がろうとした。私は、少年とぶつかった。少年は、狐のお面を頭につけており、髪は空色で、瞳には星の欠片が入っていた。
少年は
『この右目の欠片は、シリウスの欠片なんだ』
と、自慢げに話した。それから、髪を掴んで
『この髪は、コンゴという国の空で染めたのだ』
と、言った。私は
『コンゴとはどの辺にある国なのか』
と聞くと、少年は
『南の果ての、大陸にある』
と答えた。次に、少年は
『君の髪は、どこで染めたのか』
と、聞いてきたので
『京都の夜空で染めたのだ』
と、答えると
『嘘だぁ』
と言われた。確かに、嘘だった。
それから、
『京都は、どんな場所なのか』
と聞いてきたの。私は
『暑い場所だ』
と言うと
『じゃあ、コンゴと一緒だね』
と言う。私は多分、一緒なんだろうと思った。そして、急にその場所に、行ってみたいような気がしてならなかった。それで、
『その国は、ここからどれくらいなのだ?』
と、聞いてみた。少年は
『ずっと、遠くだ』
と、言った。私は、その国で空を見上げるところを想像してみた。空は、果てしなく青色を持っていた。
少しして、少年は瞳の中に入っている、星の欠片を揺らしながら、私に
『君は、ここで何をしているの?』
と、聞いた。私は
『祈っているの』
と言った。少年は、からからと笑って言った。
『無理だよ』
私は、確かに無理なことだろうと思った。私はやはり違うことを、祈ろうかとも思った。しかし気がつくと、私は右手に握った十円玉を、賽銭箱へと投げていた。十円玉は、賽銭箱の角に当たって、下に落ちた。少年は
『ほらね』
と、言った。私はなんだか、哀しいような気分になり
『なんでだろうね?』
と、言った。そうすると、少年は急に驚いたように、私の目を覗いた。そして、
『これは、なんの星?』
と、聞く。それから、少年を見ると、左目の欠片が輝いておるのが見えた。私はこれは、太陽の欠片なんだと思った。そして、私の瞳にあるのは、惑星の欠片なんだということを、思い出した。
そうしていると、私は、この星の人間ではないということに気がついた。
掃除中に出てきた古いものたち もなか @ionhco3
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。掃除中に出てきた古いものたちの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます