地獄より黄泉がえり、放つは必殺の忍法

家康公の元より訪れた服部半蔵が、甲賀の忍者たちに告げる。
互いに殺し合いって修練の成果を見せよと。
楓響馬は里の仲間全てを殺せと命じられる。
『全ては甲賀の為』
忠義の忍びである彼の、仲間たちとの絆に煩悶する決着の行き先は!?

のびやかに勇躍する忍びたちの忍法がどれも格好いい。

敵を全て闇の沼に沈める『忍法 黒点波涛』
物理法則の理を逆に展開させる『忍法 不動殺し』
山田風太郎先生の『忍法帖』を思い起こさせるような言葉選びが素晴らしい。

忍法合戦の合間に差し込まれる忍びがゆえの悲恋なエピソードは艶っぽく、物語に華をそえており、せつなに生きる者たちの青春を感じます。

読み終わったときに、本題の本当の意味を知る。
全てが結実し、反転した時の爽快感たるや!

まごうことなき怪作です。