第2話
古ぼけたアパートだけれど、どうやら家具はひと通り揃っているみたいだ。
埃っぽいのとボロいのを除けば、過ごしやすそうな配置にそれぞれ工夫されている。
あと、幽霊の鴎という男が居るのもいただけない理由に含まれている。が、これは除外しよう。どうしようもない事だ。
いわく付きの物件なのを承知で、私はここに決めたのだから。
家具を揃えるお金を使わなくて済むのは、有難いことと受け止めましょう。この際仕方ありません。
「だからって……、気が休まるわけじゃないけど」
「何か言いました? 水鳥さん」
「いえ、何も」
重たい沈黙が私の心にさらに、ずしりと負担をかけてくる。けど、鴎くんは。
あぁ……幽霊の彼に呼称をつけるなんてどうかしてるわね、私。
それに、さらりと名前呼びをしてくる鴎くんもどうかしてるよ。ほんとにこの幽霊は地縛霊なのかな? 今までのと違って、ねちっこく痛いだの苦しいだの、殺してやるだとか言ってこないからこっちは困惑してしまう。
「あ、喉が渇いてるのでしたらそちらに前の住人が置いていったインスタントコーヒーがありますので」
「あ、お構いなく」
なんなの? この地縛霊! 意味わかんなくて逆に怖いんですけど!
草臥れ幽霊の鴎くん 山波 @yamanami00paradise
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。草臥れ幽霊の鴎くんの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます