予想ですが、作者様の作品群の中でもSF娯楽活劇に大きく舵を切った大作です。
西部劇とSFの相性は意外といいものだと思ってましたが、ここまで楽しい化学反応が見られるとは思ってませんでした。
西部劇の持つちょっと泥臭くて素朴なヒューマンドラマ、クセの固まりのようなキャラクター達。
これらに骨太のSF設定が加わることで、血沸き肉躍る冒険物語となっております。
ちょっと突飛な設定でありながらも、作者ならではの読みやすさと語り口であっという間に引き込まれます。
主人公と共に旅に出て、個性的な仲間たちと出会い、ヒロインに恋して、世界の秘密に驚愕して、主人公の成長を共に追いかけて……そう、これはまさに一人の青年の旅の物語でもあるわけです。
出会いと別れ、成長と挫折、楽しくとも苦難続きの旅の物語なわけです。
この旅する時間のなんと楽しいこと!
読み終えた今はちょっと興奮気味ですが、少しだけ冷静におすすめポイントも。
まずは何と言ってもストーリー展開。次から次へと驚愕の展開が待っているので休んでる暇はありません。
それからキャラクターの個性、老若男女、まぁアクの強いキャラクターが勢ぞろいしています。もちろんヒロインが特にかわいいです。
そしてSFが混じる事で広がる物語の壮大さ、この世界の秘密にも驚かされました。
あとは主人公の成長ぶりと戦闘シーンの華麗さ。これがまた物語の華になっています。
とにかく全部ひっくるめて面白い物語です。
まぁいろいろ書きましたが、本文を読んだ方がずっと面白いです。
これだけは間違いありません。
プロローグを開けばそこはまさに「西部劇」の世界。頭に鳴り響くはローハイドのテーマソング。
そう、舞台はまさしく牛を追い一千マイルを旅するカウボーイや賞金首を追うバウンティハンターが跋扈する、誰もが知っている『西部』劇のあの世界。そんな世界に生きる主人公レンに本来この世界で起こるはずのないとんでもない事件が襲いかかる!
というのが掴みの部分なんですがここから展開される物語がもう、どこに行くのか分からない要素満載で目が離せない。
敵かと思った人物が力強い味方だったり、西部劇とは思えない異能を持つキャラが現れたり、年齢不詳のツンデレ少女が現れたり、さらには対地攻撃衛星兵器まで登場する。
そう、この話は西部劇の形を借りた完璧なSF物語。そして異能集団の中で揉まれながら成長していく主人公レンの物語です。
作者様の描く人間味あふれる登場人物も暖かい文体も魅力的。
仕事終わりの疲れた時間に読むと、冒険心を刺激されてワクワクドキドキしながらも文章に癒されます。しかもあちこちに散りばめられてる西部劇のお約束アイテムにいちいち心をくすぐられます。
あとね、深夜に読むのは危険です。しょっちゅう出てくる食事の描写はあまりにも美味しそうで、こんな時間に食べちゃいかんという自制心が崩壊しますから。