ウォーグライド隆興記
帝国歴166年。3月。
その日、一人の老騎士が復活の狼煙を上げた。彼の者の名はヘルマン。
解放軍の敗走のちに行方不明となっていたヘルマンは、辺境の街にて、彼の愛機ジャック・グローリーと共にその姿を現した。
彼は、その後、再び暗黒皇帝オグレスの座する帝国に反旗を翻す。反オグレス陣営の中心人物として、彼の猛々しい戦いの記録はその後の時代においては多少の脚色を付け加えられながらも長く、広く、愛されることとなる。
救国の将。真なる忠臣。彼をほめたたえる言葉は数知れない。
そんな英雄の傍らに、もう一人の男がいた。その男の名はベルナー・フォン・バイクレット。かつては帝国軍内において策謀と戦略を担った影の男である。
冷酷無慈悲、効率を重んじる男として歴史に名を残したこの男は、この時、逃亡するヘルマンと行動を共にしていたと記されている。
水と油と囁かれる両者であったが、この二人の存在は、その後も続く帝国の栄華に大きく関わっていく事となるが、それは、また、別の歴史が語ることである。
ウォーグライド隆興記 老兵たちの断片 甘味亭太丸 @kanhutomaru
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