第19話 お地蔵さん

秋田で雪が降り始める季節のお話です。

その日は、その年初の雪が降り続いていました。

みぞれまじりの冷たい雪。

魔王「もう、雪の季節か……」

じい「まあ、しょうがないな」

東北の長い冬の始まりです。部屋の窓から外を見ると、灰色の空から音も無く雪は降ってきてます。

「どれ、雪が積もる前に買い物でも行くか!」

じいが言いました。

魔王とじいと二人で、車に乗るために駐車場に向かって歩きます。

「うん?」

魔王がなにかに気づいたようです。

「どうしたんだ?」

じいの言葉に魔王が答えました。

「あれ見ろ!」

魔王が指す先には、お地蔵さんがいました。

子供の姿の小さなお地蔵さんが、並んでいます。

魔王が言いました。

「雪が積もって寒そうだな」

車でスーパーに買い物に行きました。

そこで魔王が何か買ってます。

家に戻ってきました。駐車場に車を入れると、魔王がさっき買った物を出しました。それは子供用の小さなレインコート。


「こんな雪の日に裸はかわいそうだ」

お地蔵さんに、着せてあげています。

家に歩きながら魔王が言いました。

「色、あれでよかったかな」

じいは答えます。

「気持ちがあれば何でも喜ぶ」

「そうだな」

ニコリと笑った魔王は家に帰りました。


魔王は全ての物には心があると思っています。

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(お笑い短編集)ゴシャカレタ! こうえつ @pancoo

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