第2話【その1】刺身
居酒屋でしっぽりと呑むならば、やはり呑む酒として日本酒は外せない。そして居酒屋まで出向いて日本酒を呑むならば、ツマミとして刺身は外せない一品だろう。きっちり旬の魚を仕入れてきているか、また出される刺身の切っつけ具合がどんな具合かと言ったところで、その店の素材への気の使い方と板さんの腕がおおよそ分かるというものだ。
刺身はその日のおすすめとしてホワイトボードに書かれている事が多い。そこに旬の魚の刺身があったならば、それらを2,3品頼みたい所だ。気の利いた居酒屋であれば数品程度の盛り合わせがあるだろうし、頼めば一人呑みに丁度良い量の盛り合わせにしてくれるお店もあるので、臆せずに店員さんに聞いてみるのが吉。これがOKであれば、さらに期待が高まるというものだ。
刺し盛りを頼んだら、まずは白身から頂きたい。この時、醤油にわさびを溶いてしまっては台無しだ。せっかくのわさびの香りと辛みが消し飛んでしまう。
まずは盛り皿の方で広げるように一枚つまみ、その上にわさびを好みの量箸で摘まんでのせ、わさびをくるむような感じで箸に取り、下の方に醤油をちょいとつけて口の中へ。そしてすぐには飲み込まずに、ゆっくりと咀嚼しながら、口中の空気を鼻に抜くような感じに。こうする事で白身魚特有の香りが堪能できるし、染み出てくる旨味・甘みも堪能できると言うものだ。少し噛んだだけで飲み込んでしまっては、せっかくの白身が堪能できない。白身はゆっくりと味わうのがよい。白身だけでは無く、刺身全般に言える事だが。
続いて青魚。青魚を出してくれる場合、大抵おろし生姜が添えられている。こいつを白身・赤身用の醤油皿とは別の醤油皿に入れ、生姜醤油を作ってしまう。個人的には醤油は多めで作り、よく混ぜる。そして刺身を一切れ取り、生姜醤油の醤油だけを付けてパクりと。生姜そのものは適当についてくるに任せる。生姜をくるんだりしてしまうと醤油の量が多くなりすぎるので、あくまでちょいと付けるぐらいで十分。食べ方は白身と同じ。
最後に赤身系統。こいつは白身とほぼ同じ感じで頂く。が白身より心持ちわさび多めにすると、濃い味とのバランスが良くなって、より美味しく頂ける。トロなんかの脂の多い所の場合は、さらにわさびを多めに。こうする事で脂のくどさが抑えられ、旨味と甘みが堪能できる。
こんな感じでのんびりと、刺身が乾かない程度に食しながら、一切れ食べたら日本酒を「きゅっ」と一口やれば、日本酒で刺身の旨みが引き立てられ、かつ口の中が洗い流されて口中も気分も天国間違いなし。
酒を呑むならこんな風に にわけん @niwaken
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