私が小説を作る上で大切にしている事。

宇論 唯

発想

 私は小説が苦手だ。

 現実逃避の材料。

 弱い人間はすぐ何かにすがる。

 なら、自分は弱くないのか。と言われると自信はない。

 確かに自分は弱い。だが、物語なんかに依存はしない。

 僕は物語を読むことに楽しみを見出さない。僕は作ることに楽しみを見出す。

 作ることは面白い。まるで、世界が自分のものになったような奇妙な、だけど心地いい感覚に陥る。

 僕は世界をたくさん作った。

 たくさん、たくさん作った。

 僕はその後、ミステリー作家として名声を得ていった。これもまた悪くない。

 僕はたくさん作った。

 創作の中で一番楽しいのは「発想」だ。

 0から1を作る…発想はそんな魔法。

 1から2へ…2から3へ…。

 楽しくてしょうがない。

 僕はたまに辞書を持って部屋に閉じこもる時がある。

 僕の持っているモノを研ぐ時間だ。

 辞書の中には僕の表現の手段を増やすものが入っている。

 だから、辞書は便利だ。

 僕の才能は徐々に高まっていった。

 前まで、途中で犯人がばれそうになったこともあったが今は完璧に騙しきれる。

 こういう成長は創作意欲になる。

 読者の反応は自信になる。

 だから、コメント欄はちまちま見るべきだ。

 批判意見は自分の成長につながる。

 だから批判に顔を渋くしなくてもいい。むしろ、自分の悪いところを指摘してくれたと感謝すべきだ。

 でも、いくら天才とはいえ、名作は何度もかけない。

 何回も調子にのって発想しないほうがいい。

 自分では斬新だと思っていた発想でも実はありきたりなものだったりする時がある。

 そろそろ僕も才能が枯れてきた。

 この一作で僕は引退しようと思う。

 …さて、一仕事するかな。

 

 僕は血で錆びたナイフと見知った人の写真を懐に入れて、外出した…

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