near the ture/close to you(真実のそば・あなたの隣)

「もっと飛ばして! そんなんじゃ私のナイトメアには追いつけないわよ!」

ぎゃあぎゃあと喚くナイトメアを乗せて、Doomは古い環状線を飛ばしていた。

「無茶言うなよ! これ以上の急加速は俺が死ぬ! そしたらあんた、どうする気だ!」

Doomの問いかけに答えず、ナイトメアは辺りをきょろきょろと見回していた。

「ねえ! ニトロボタン無いの?」

「そんなものは! ない!」

Doomは握った操縦桿を引き倒した。加速に伴い圧がかかる。ナイトメアは気持ち良さそうに口角を上げた。

「ゴーゴー! そうだ! 飛ばせ飛ばせーっ!」

「喧しい! 黙っていられないのか!!」

Doomは叫ぶ。赤い光が小部屋を満たし、モニターに大きな影が映る。黒い船がじりじりとせまり、ナイトメアは不敵に笑んだ。ナイトとメアでナイトメア。二人で一つ。二人は一つ。あとほんの僅かに加速すれば、二人は一つに戻られる。ナイトメアは声を上げて笑った。集中を乱されたDoomがかき消すように吠えた。


閉ざされた船、扉があくまでもう少し。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ナイトロ・ナイトメア 佳原雪 @setsu_yosihara

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ