②異世界に転移した地味っ娘がアニオタだった件

第1話「加賀谷勇一と須賀希里花」

 1


 5月27日、午後6時47分。丁度学校が終わるころだ。

 私の同級生・加賀谷かがや 勇一ゆういちが自殺したということが、帰りのHRで先生によって伝えられた。

 彼は女子からかなり人気があった為、周りの女子たちはみんなひどく落ち込んでいる。

「今週は二人も自殺者が出たが、誰か理由を知っている奴はいるか?」

 そう。今週は、これで二人目。

 一人目が須賀すが 希里花きりか

 彼女はクラス一位の美少女であったため、男子は現在、全員不登校である。

 ちなみに彼女の死因は、クラスの一部の女子によるいじめだと分かっている。

 しかし今回の自殺者、加賀谷 勇一の死因については、分からない。

 なんなら、この見た目は地味っ子、実は美少女の幼なじみ探偵・華宮結衣奈が解明しようではないか。(加賀谷勇一のクラスは、クラスの半分……といってもほぼ女子がポジティブなので、このコナンっぽい言い方はご了承下さい。)


 2


 私は放課後、加賀谷くんの家へと向かった。

 そしてインターホンを鳴らす。

「ピーンポーン」

 それから少し経って、誰かが出てきた。

 それは――

「あれ?結衣奈ちゃんじゃない。どうしたの?」

 加賀谷くんのお母さん、加賀谷かがや 裕美ゆみだった。

「……もう、勇一は――」

 と、その言葉を遮るように私は言う。

「その事についてです、入っても良いですか?」

「え? ええ。良いわよ。」


「はい。粗茶だけど、これでいいかしら。」

 と言い、裕美さんは粗茶を渡してきた。

 私はそれを受けとる。

「お気遣い有難うございます。」

 私はそう言い、お茶を一口飲む。

「……で? 何をしに来たの?」

 裕美さんはそう聞いてきた。

「少し、気になる事がありまして。」

「何? 気になる事って。」

「息子さんの――じゃなくて、加賀谷くんの自殺の原因についてです。」

 そう言った瞬間、裕美さんの表情が少し暗くなったのが分かる。

「何か手掛かりがないか探しに来ました。」


「それで、加賀谷くんの部屋に入れてもらえませんか。」


3


「ここが勇一の部屋よ。」

そう言われ、入ったのは加賀谷くんの部屋。

驚くほどにカーペットが赤く染まっている。

「う……。血の臭いが……。うっぷ。」

あまりの臭いに昼食を吐きかける。

しかしなんとか我慢した。

気が狂ってしまいそうな程の血の臭いと、腐臭が混じりあったような臭い。

口で息をするだけでも寒気がするほどに濃いその臭いは、私の足取りに影響を与えた。

「キャッ!」

「結衣奈ちゃん!」

私は転んだ。

そして、カーペットに染み込んでいたその加賀谷くんの血が、私の顔と、眼鏡にべったりと付いた。

そしてあの臭いが、直接的に感じられた。

「お母さんは、部屋の外で待っていて下さい。」

「え? ……ええ。」

私はそのにおいを嗅がないように、部屋の外で大きく息を吸って、息を止める。

最高でも10分は耐えられる筈だ。

だからその10分のうち、一応安全なよう9分を使って探そう。

加賀谷くんが自殺した原因を。


4


私はまず、日記を手に取った。

でも4月3日に書いたっきり、三日坊主で終わっていた。

続いて私は、アルバムを手に取った。

そのアルバムには、幼稚園入園~高校入学までの写真がたくさんあった。

団体写真はなぜかあまり無かったが、どれもクラスの人の三人は必ず写っていた。

しかし一箇所だけ、ホチキスで閉じてて、開けない部分があった。

やれやれ。普通こんなに盛り上がってれば気が付くだろう。

私はそれを、無理やりこじ開けた。

「ビリビリッ! ビリリリリリリリッ!」と音を立てて開くと共に、中から一気に大量の写真が顔を出す。

その写真は全て、さっき見つからなかった団体写真が、ある程度拡大されている物だった。

とりあえず私はその写真を机の上に並べ、他の場所を探す事にした。

次は……どこを探そう。

「ん? なんかここ盛り上がってるな。」

床が盛り上っているのに気付き、カーペットをめくる。

するとそこには――

「これで全部、繋がった。」

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異世界で初めてパーティーに入れた美少女が元クラスメートで魔王だった件 スピンオ 柊木緋楽 @motobakaahomaker

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