救いようの無い世界に立ち向かえ

「識者」が絶対的な権力を持つ世界。
識者が経営する企業、マティス・クリーン社に入社した親友が陵辱の限りを尽くされた事を知り、悲しみに暮れるメア。
彼女の前に現れたのは、救いようの無い世界を変えようと戦い続ける者たちだった。
「BORDER」のメンバーとしてマティス・クリーン社に潜入したメアは、そこで信じ難い真実を目にする。

全てを支配する存在に搾取される者たちの戦いを描くSF。
王道を土台とした上に、確かなオリジナリティーが溢れています。
見た事の無いはずの光景を、たった一行だけでまるで知っている気分にさせてくれる繊細な描写が魅力。
「やるか、やられるか」の雰囲気が作品全体に立ち込めていて、至高のシリアスを味わう事が出来ます。
識者に挑む組織「BORDER」。このメンバーの中にも識者が存在するのですが、それぞれの持つ能力が、他作品ではあまり見られない面白味溢れる特性を持っています。
怒りに身を委ね生きる「識者狩り」ブラッドの、殺伐としたストーリーがどう絡んでくるのか楽しみです。