読了して思ったのが、「現代ローマバージョンの二人も見たーーーい!!!」という謎の感想でした。
絶対アマリアとトラトスはおしゃれなイタリア女とボロいイタリア男でもいけると思うのです! いいバディ……o(^▽^)o!!
ジェラート片手にランボルギーニでローマ市を突っ走ってくれーーーっ!!!
げふんげふん。
紀元196年の古代ローマ。ローマ市民権を得ていないどこにでもいる貧乏青年・トラトスは、濡れ衣を着せられて死刑を執行されかけてしまう(ローマの死刑は残酷すぎるので本編をお読みください)。
なんとか逃げ出した先に現れたのが、縁ある令嬢、アマリア。彼女はトラトスを救い、なんやかやあって護衛として彼を雇うことにする。
このアマリアも、実はある事件の真相を追っていた——。
作者様の博識な古代ローマ知識がふんだんに盛り込まれています。古代ローマ好きとしては嫉妬してしまうほど、自然に明晰にローマの風俗やローマ人の言い回しが出てきます。凄まじい勉強をしないとこんなことできないはずなのに、それを一切感じさせないわかりやすい文章なので、非常に舌を巻いています。わーーっ、私も歴史(時代?)物を書くことがあったら、このくらい自然にわかりやすく書きたいな!!
真相を知るにつけて、なぜ「紀元196年」と年が指定されているかするするとわかり、おおお……と古代ローマ好きとして感動しました。
トラトスのバイタリティの高さに震えてます。一家に一人トラトスがいれば困ることはありません!!
また続きが出たら嬉しいなあ……と思いつつ、でも続きがあったらトラトスの胃が確実に蜂の巣状態になるなと思いました。えへへ……ぶっ飛び令嬢に付き合うのは大変……!
歴史って言われるとちょっと苦手で、よく分かんないなーと思ってる方もこちらの作品を読めば、「ほう、古代ローマ! そうなのか!」となるかと思います。歴史に苦悩していた高校時代に読んでいれば、大嫌いな歴史の授業がたちまち大好きに! なんてことになっていたのかもしれない!
その時代に出会えなかったことを何と残念に思ったことでしょう。
ワインを薄めて飲む文化だとか、テュニカだとか、身分の違い、階級の事、色んな文化を感じながらとても魅力ある時代だったのだなあ、と感じ入りました。
主人公のトラトスの魅力は頭の良さだと思います。知恵者といいますか、思慮深いとはこういう人のことをいうんだなと思います。
ヒロインアマリアは目がきらりと猫のように光るようなとてもいたずらな目、初見の者をたちまち虜にしてしまうような美貌、華やかな外見に煌びやかな衣装が似合う女性です。そしてそれらを全て凌駕するような個性の強さ。アマリアは主人公がシャキッとしてないと張り手が飛んできそうな女性なんです。格好よくないですか??
何かこう、強い意志のようなものを感じさせる女性でして、でも気が強いのにとても品があり女性としての魅力にあふれています。
とにかく文章が綺麗で読みながら「何てきれいな文章なんだあ、私も上達せねば~(;´Д`)」と何度思ったことでしょう。情景描写、比喩表現、読みやすいのにしっかり書き込まれて奥深い。
物語は主人公トラトスがライオンに食われる(いや、食われそうになる)ところからスタートいたします。
古代ローマ、トラトスwithアマリア謎解き冒険譚!
ご覧あれ~!
濡れ衣を着せられたトラトスと、兄殺しの真相を追及しようとするアマリアのミステリー冒険譚です。
トラトスの身近な人物の死から、国一つの運命を変えかねないほどの大きな謎に発展していく様は見ごたえがあり、ぐいぐいと物語に引き込まれていきます。
最後まで、手に汗を握りながら続きを追いかけたくなるでしょう。
高潔で勇ましいアマリアと、彼女に翻弄されながらも距離を縮めていくトラトスとのコンビは、話が進んでいくにつれて、でこぼこながらも息のピッタリ合った最強のコンビに。
二人の徐々に縮まっていく距離間にも、にまにますること間違いなし!
脇を固めるサブキャラも魅力的です。彼らの活躍によって、一層この深い物語が深まっていきます。
このローマの歴史描写もさることながら、彼らの台詞が本当に小気味良く、いつも惚れ惚れしてしまいます。
是非とも、彼らの軽妙な言い回しや、重厚に描かれたローマの歴史にどっぷりと浸かってみて下さい。
読み終わった後には、きっと素敵な女神の微笑みに出会えることでしょう。