部室でのほんの一瞬の出来事。しかしそれを濃密なものにさせる彼女との回想シーン。 細かく描写された部室の光景が、容易に想像できる。どこかに必ず不具合の発生している部室の物の描写が、リアルで、特に好きだった。 ビターチョコレートの比喩が物語の主軸になっているように思う。 主人公は一歩大人になったのかもしれないし、違うかもしれない。 ビターチョコレートの苦味と恋の切なさを上手く使った短編小説。 ビターチョコレートを食べながら再読したいと思った。
作品紹介してくださいまして、ありがとうございます。素敵な作品に出会えました。主人公と彼女の静かな関係は、序盤、もしかしたらそうなのかな?と思うほどに優しい時。ああいった関係も素敵だなと感じました。過去を思い出して見つけたビターチョコレート。苦味と共に飲み込むそれは、切なくも成長を感じる一瞬。同じ雨なのに、違って見えるのもまた成長かもしれませんね。言葉ではなく、静かな時間に心動かされる作品でした。
スラスラと頭の中に入ってくる軽妙な会話が、読んでいて楽しい。そして同時に物語にコントラストを与え、より「苦味」を際立たせている。
彼女との間に流れる無音ながらも心地の良い空気。いつしか変わらなければいけないその雰囲気。変化に躊躇う主人公を追い抜かして、遠い存在になってしまった彼女に対して感情を隠せないその切なさが非常に面白かったです。
聞きたくなかったことを感情を押し殺して聞くシーンが、リアルでした。
好きとか嫌いとか、そういう感情は甘ったるいようで、実は、…を教わりました。新しい発見が数個もあり、とても新鮮な気分です。ありがとうございました。
彼の記憶に張り付いた苦味は複雑で、都合の良い無敵は苦味には敵わない。 この作品のリアリティに呑まれた私は、彼のように苦い失恋を思い出すのだった。 素晴らしい作品でした。