変化
「死体を使う………?」
「そう、死体だよ。死体を使い君の魂を入れてあちらの世界に送るんだ。
前の勇者達には一から作ったりしたんだけど、色々と要望が多くてね。イケメンにしてほしいやら、もっとスタイル良くとか。まぁ、かなり大変だったんだ。
結果僕のイライラが爆発して彼等を適当に送る事になったんだけどね。ざまぁみろ。
あの時のことは思い出すたびに笑えるよ。
と、話がずれたね。そんな事があってね、一から作るのは面倒くさいから死体を使う事にしたんだよ。
使うと言っても君の居た世界の物ではなくて、これから向かう世界の物を使用するよ。
君の世界に魔法は無いから魔法に適正を持つ人が殆どいないんだよね。
だから、あちらの世界の有望な死体を使う事にしたんだ。
元の君とは違いかなり才能はあるから安心していいよ。
ほら、これがその死体だよ。」
そう言うと、いつの間にか人の死体が転がっていた。
年はおよそ3歳くらいだろうか。黒色の髪を持ち、眠っているように横たわっている。小さ過ぎる身体はガリガリに痩せ細り、お世辞にも健康体とは言えない。では、死因が餓死か栄養失調なのかと言えば一眼で違うと分かる。
何故ならこの子のお腹の部分が丸い円状にくり抜かれているのだ。
綺麗な断面からは血が少しづつ溢れて、これが人形ではない事を物語っていた。
「う、うぐぅ……おぇ…」
あまりの事に吐きそうになるが、無理矢理口を押さえてなんとか堪える。
この子に何があったのか?それは分からないが、これから行く世界はとても危険だというのがひしひしと伝わった。
「この死体は貴族の子供だから中々に才能を持っているやよ。この後は、身体を綺麗にしてから君の魂を入れて力を渡したら完成だよ。君は自身に才能が無いと言っていたから、未練もないでしょ。まぁ、有ったとしても意味無いけどね。さて、此処までで質問は?」
「…………ひとつだけあります。」
「なに?」
「貴方は私の魂を入れると言いましたが、いま私には身体があります。それなのにどうやってこの子の身体に魂を移すのですか?」
「それはね、君に一度
「なっ⁉︎…………ぁぁ…………………ぁ…」
その言葉を聞いた瞬間体から力が抜けて倒れてしまう。眠気よりも強い何かにより俺は目を閉じてしまう。
「安心してよ。目覚めた頃には既にに終わってるから。」
そんな声を最後に俺の意識は消えてしまった。
「さぁ、起きれるかい?身体の調子はどう?変な所があったら今なら直せるよ。」
「………………身体の調子は良好です。ただ、頭の中が白く霞んでいるように感じます。」
「魂の移動はかなり消耗するからね。まぁ、すぐに治ると思うよ。さて次は君に付与したスキルについて説明するよ。本来はスキル一覧から選んでもらうんだけど、今回は面倒くさいから僕の独断と偏見で選んだよ。君が寝ている間に付与しておいたから確認するといいよ。」
「あの、どうやってスキルを確認すれば良いんですか?」
「目を閉じれば勝手に思い浮かぶそうだよ。」
その話を聞いた俺は目を瞑った。
●● ●●
能力
(あらゆる物を喰らい力として貯蔵する。)
何だこのスキルは?
予備の勇者として転生した俺は魔王を倒すために力を貯める。 ショウ @kinggainner
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