夢の狭間

宝石雨

　空から宝石が降る。

　この現象はずっと前から起こっている。

　不思議な現象だと世間はざわついてはいるが、全然お咎めなし。

　それもそのはず。

　落ちてくる宝石は純度が高く、中には高価な宝石も転がっている。

　最初のうちはその宝石を拾い集めては、人のものを奪い、現金化するという人の流れがあったが、今では道端に転がっている宝石を見るともなしに見るだけにとどまっている。

「お金、なんて概念がなければ、この宝石はどういう末路を辿ってたんだろうね」

「同じじゃないですか？結局人は利益のためにしか動きません」

「そうかな、こんな綺麗なものはかき集めたくなるものでしょ？　道端にこんなに……ゴミ溜めのように放置するなんて。お金が、価値がないと云われてるようです。悲しいですね」

　男は嘆く。

「慣れでしょうか？　飽きでしょうか。今度はお金を降らせてみます？」

　宝石の神は冗談とでもいうように笑った。