「超」能力兄妹

第1話:兄妹、「超」転送。

「兄様、テレポーテーションを使って。」

「分かってる、だがこんなところでも使えるのか。」

「そんなの私にも分かりませんわ。」

ツンと顔を背けた妹を見て、思わずため息が出る。

「だってよ椿、ここ大草原だぜ。これじゃどこに行ったらいいかもわからないもしかしたらお前だけ転送されなくて危険な目にあうかもしれないいや、俺がいる限りなるわけがないが…」

「もう、兄様！」

「あ、あぁ。」

「早く転送してください。」

「はぁ、ったく知らないよ〜兄様は〜。」

そうして俺は仕方なく妹とこのどこかも分からない大草原をとりあえず抜け出すことにした。

事の初めは約一時間前に遡る。

とある世界のとある国で大金持ちだった俺達の両親は、生まれてしばらくして俺達が「異常者」である事を発見した。というのも、屋敷に入った強盗を俺と妹が「何かの力」で次々と殺していたのだという。残念ながら俺達にはその時の記憶が無いが、恐らくそれが第1の覚醒だったのだろう。

そして17歳の俺たちの誕生日、二人で出かけようと家を出たのが運の尽きだった。