少女と魔法は変態ですか?

イシグロ有栖

第1話

魔女狩りが地方によって盛んに行われ無実の人々が火刑台へ送られる世界

橘莉夏(たちばな りっか)もそんな魔女の疑いを掛けられ処刑台へと連れていかれるが....

謎の少年と出会い世界を敵に回してでも生きたいそんな気持ちが世界を変えてゆく

残酷な世界で生き抜くために魔術(笑)で戦うがーなぜか下ネタ?シリアスとコメディが混ざり合うよく分からないそんな少女達のお話

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「「殺せ!殺せぇ!」」

「「あぁあ神よ悪魔に鉄槌をぉ」」

「「早く焼き殺せぇ」」

「「死ねぇ」」


極東に位置するアスタルテ帝国の首都 京極きょうごくの大路地を一人の少女が小柄な体には到底似つかわしくない大きな手枷をはめられ軍人達にやや引き摺られるようにして歩いていた。


大路地にはパレードのように大勢の人が集まり絶え間なく少女に罵声や怒号の声をあげていた、民衆の中には落ちている石や飲み干した酒の瓶などを少女目掛けて投げつける者もいる


誰かが瓶を少女に向けて投げると ひゅん と風を切り鈍い音を立てて少女の額へと直撃する、地面に瓶が落下し砕け散ると素足の少女の肉を抉り取る


「っつ!…」


額から鮮血を流しながら少女は痛みに顔を歪ませるしかし人々は少女を心配することも無ければ助けることも無くただ怒りの眼差しを少女に向けている、皆同じ目をしている事に気づく者は居ない

罪人にと言えど暴力行為は法律違反なのだがそれを取り締まる立場の軍人達ですら見て見ぬ振りを決め込んでいた、いや軍人や人々は哀れな少女見て楽しんですらいるようにすら見える


まあ、それも仕方のない事なのかもしれない 何せ彼女が向かっている所は火刑台…すなわち処・刑・場・なのだから…。

彼女の罪名は―魔女witch―




「うぐっうぅぅ」


また私の額に石が直撃した、うぅ痛い…でも最初の頃よりも痛みを感じなくなってきていた

痛くないのは嬉しいのだけれど…


「死んじゃう…のか…」


痛みが消えていくにつれてどんどん死に近づいているような気がして、私は胸が締め付けられる


私は二日前まで街のパン屋の看板娘だった

勿論魔法なんか使えないタダの女の子だ

それが今顔馴染みだった人達にさえ罵声を浴びせられまるで汚物を見るかのような瞳で見つめられる極悪人の魔女だ…なんでこうなったんだろう…心当たりは一つもない…惨めだなぁと考えていた私は聞き覚えのある声を朦朧とした意識片隅に聞いた

私は声のした方をゆっくりと振り向く


「あ!あぁ!」


朦朧としてきていた意識は一瞬にしてハッキリして瞳には生気が宿る


「お、おじさん!」


私は思わず叫ぶ

そこに居たのは私の働いていたパン屋の店主だった

私の事をとても可愛がってくれて


「血は繋がらないが自慢の娘だ」


と言ってくれた人だ早くして両親を亡くした私に暖かい言葉をくれ恩人なのだ

あぁそうだきっと助けに来てくれたんだ

例え助ける事が出来なても血の繋がらない親・子・として最後の暖かい言葉をかけてくれるんだ!そう思うと何故か暖かい涙が頬を伝う


「うぐっおじっさん あっありがとっおじっさん!」


私は視界をぼやけさせながら感謝の気持ちを述べる


ドガッ「うっ」


次の瞬間再び石が額に直撃した、私は痛みをこらえおじさんの方に顔を向ける―


「…え?」


そこには大きく腕を振りかぶったおじさんの姿があった


ドガッ「うっ…え?」


そしておじさんの手から放たれた石が私に直撃する

痛みは不思議と感じない

そしておじさんは目を釣り上がらせ私を睨む


「やめて…」


やめてやめてやめて私をそんな目で見ないでおじさん!なんでそんな目で見るの?私はパニックに陥る


「やだっ!やだっ!」


おじさんの口がゆっくりと開く、なにを言うのか大体予測はつく…やめて何も聞きたくない!

私は急いで耳を塞ぎ痛みのある傷口など無視して全力で押さえ付ける

しかし何故かおじさんの声だけはハッキリと聞こえてきてしまう…あぁそう言えばおじさん若い頃は歌手を目指してたんだっけ…そしておじさんは言う


「死んでしまえ魔女…今まで騙しやがって!」

「―お前なんか娘なんかじゃねえ!消えろこの世から!」


「…あうっあぁ…ァァァぁあああっあ」


 ――私は再び光を失った瞳を上にあげると青い空を見上げた、視界はぼやけてよく分からないけれど皮肉な程に澄んでいた…私は二日前まで幸せに駆け回っていた大路地を一歩一歩踏みしめて歩き続けた―。


続く

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