「何の力も持たないたった一人の少年が、この長く冷たい『冬』に抗う物語。」――第二章 プロローグより
予想もつかない展開と、世界をしっかり捉えようとする理知逞しい主人公の眼差しがいきて、次々と転がっていくストーリーにも取り残されることなくつい夢中になって読んでしまいます。
また様々な謎が絶妙なタイミングで明らかになり、気づけば作品の世界に没頭していたなんてことも。読みすすめるほどにハマりました。
異世界とは何か、チートとは何か。
流行の中にも流されずに本質を見つめようとする作者さまの視点が伺えて、だからこそ雪原の大地すらも異世界として描けてしまうのではないかと思います。
五感を刺激する豊かな情景描写と、言葉のイメージの扱い方が巧みで挑戦しにいっている感じが、個人的にとても好感が持てます。
続きを拝読できるのを心から楽しみにしております。
普段、異世界ファンタジー(というジャンルで良いのだろうか?)を読む事があまりないので、そんな人がレビューを書いているんだなと思って読んで頂ければ幸いである。
出だしから情景描写に力を入れている点が窺える。
異世界に転移したところ凍てつく銀世界というのも面白い。自分が読んできた小説の中では、今までに見た事がない設定なので驚いた。
なかなか他の登場人物(人間)が現れないのも、翔がこの地でどう生存していくのかと、先を読みたくなる気持ちを昂らせる要因の一つになっている様に思う。
ただ、どうしても気になるのが視点の揺らぎ。
三人称一元視点で書かれていると思うのだが、稀に一人称視点で書かれた文の描写になってしまっている所(推定の多様)があるので、推敲を繰り返してより良い作品にして欲しいと思う。