第6話
とりあえず家に帰ろうと思い足を運んでみたところ、通り道にある商店街が異様な空気に包まれていた。
おかしい。いやしっかりしろ。なぜ気づかない。気づけよ!俺を見ろよ!
普段通りなら、少年はすでに豚箱にぶち込まれていただろう。だが、今日は勝手が違った。
少年が進もうとしている道の前方およそ100メートル。デコられたゴツいラジカセで爆音を垂れ流し和服を着てキラキラしている少女が迫っていた。
今この街でのやばい人間ランキング1位はその少女2位は少年だろう。1番が目立ちすぎて2番が目立たないのだ。
例をあげるなら日本人に「日本で1番高い山は?」と問えば皆「富士山」と答えるだろう。だが、「日本で2番目に高い山は?」と問えど「北岳」とは多くの人が答えることが出来ないだろう。
まさに今、富士山VS北岳の戦いが今始まろうとしている──!
少女は闊歩しながら思考を巡らしていた。
(あの少年のことを神力で追跡しようと試みたら、海で形跡が途絶えてしまいました......何ものかに阻まれた? うーん......あ、美味しそうですね、あれ何でしょう)
少女は前を見ていなかった。
(うう......スースーする......人の目がきになる......。この服完全にホットなリミットなやつじゃん権利とか大丈夫か)
少年は前を気にする余裕もなく、ラジカセの爆音を耳に止めることすらも出来なかった。
ゴツッ──。
少年が数奇な運命にぶつかる音が響いた。
「あ、申し訳ありません......前を見ておりませんでした......」
「あ、こちらこそ......すいません」
「......」
「あ......」
「「あああああああああああ!!!」」
二人の絶叫が広場にこだました。
ヤオヨロズ! 夏め渚 @natumenagisa
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