人間のカケラ

最終話 それでも僕は生きていく

　今年２０１８年、タンポポに通所して３年になろうとしている。

　作業員の中でも、無遅刻無欠勤で作業も真面目に取り組む僕は、タンポポの優等生と言われている。

　就職活動もしているが精神障害者で高齢者の僕を受け入れてくれる会社は無い。

　それでも僕は生きていかなければならない。

　メンタルヘルスの全国版の月刊専門誌がある。精神障害者を扱う日本で恐らく唯一の専門誌だ。

　【こころの元気プラス】

　毎号の表紙のモデルを飾るのは精神障害者の当事者だ。

　ひと昔前なら考えられない事だろう。

　精神障害を隠すのでは無く、オープンにしてこの病気と闘うのだ。僕はこの勇気に感動して、モデルに応募した。

　モデル志望者が多く、選ばれても１年待ちだという。

　応募して１年後、モデルに選ばれたと連絡が入った。応募に送った写真の笑顔が凄く良いと説明された。

　撮影には、かわさきライフの瀬川さんも応援に駆けつけてくれた。忘れられない楽しい一日だった。

　２０１７年４月号に掲載された。

　全国版専門誌の表紙を飾る事など二度と無いだろう。動画のインタビューも撮影した。

　【こころの元気プラス】のホームページで今もバックナンバーとしてこの動画を見る事が出来る。

　僕にとって励みになった。

　これから先もたくさんの試練が待ち受けているだろう。この物語は一度終わるが、僕の人生はまだまだ続いていくのだ。

　それでも僕は生きていく。

　モデルになった笑顔を忘れない様に。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　完