黒い、真っ黒な憎悪を描く兄弟の相克の物語

 むじなさんこういうものも書けたのか。
 と思わずつぶやいてしまった。
 それほどに此処で描かれる物語の衝撃は強く、痛みは鋭かった。
 弟がいる身としては、彼が善良で人を陥れることをしない優しい人間であったことを感謝せずにはいられない。
 これは読む地獄だ。