エメラルドギロチン

作者 myz

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★★★ Excellent!!!

小説を読む前に、まず「エメラルドギロチン」というタイトルに目が留まった。
「エメラルド」と「ギロチン」という言葉の並びには、詩がある。
この『エメラルドギロチン』という小説は、タイトルに劣らず美しい。
美しく、とびきり面白い。

この作品の美しさ、そして面白さの一端は、魔法の自然律や道理についての具体的な記述があることだ。
魔法の道理があり、その道理に基づいて、作用する。
世界を想像し、創造するとは、こういうことだろう。

★★★ Excellent!!!

ミステリ仕立ての短いローファンタジーもの。
ちなみに改稿前のものがあり、結末付近での展開が大きく加筆されている。話の大筋は変わっていないが、戦闘シーンを通して暗殺者の持つ能力の特異性について言及する機会があり、傭兵団のリーダーの人物像についても知る機会が増えるなど、尻切れトンボ感の強かった改稿前とは大きく改善されている。


非道な実験を行っていた地方の豪族連中が次々に変死するという事件が起き、その生き残りの人が別の地方で駐在官に保護を求めるのだが、そこに暗殺者が音もなく忍び寄り……という内容。

Chapter1と銘打たれているとおり、最初は派手な戦闘も起きないのだが、中央から派遣されてきたエリート巡視官と、殺人犯に狙われている豪族を守る、傭兵団のリーダーがメインの立ち回りを担う。
この巡視官がほどよく『抜け目のないやり手の捜査官』というキャラを持っており、傭兵団のリーダーも荒っぽいながらも野卑ではなく、『仕事をきっちりこなす荒くれ者達のまとめ役』というキャラクターで、とっつきやすいというかほどほどに感情移入しやすいところが非常に好感が持てた。

また、後半は暗殺者の姿が明らかになり、その特殊な能力も明示されるのだが、傭兵団のリーダーと魔力を駆使した戦闘――いわゆる異能バトルでその強さと特殊性が遺憾なく発揮され、Chapter1、物語の出だしに相応しい緊迫感と謎に満ちた作りになっている。文章のレベルは申し分なく高く、ここから先を読むのが非常に楽しみ。

★★ Very Good!!

という感じで、ある男の活動をいろんな視点から切りとることで事件の全体像を漂わせる群像ものみたいな短編――断片小説といったところでしょうか(うまいこと言ってみた顔

今後ライバルなど登場したり、この主人公がこういうことを始める経緯を描いたオリジン編みたいなのが出てくるのかなという期待も兼ねての☆2を捧げます