第11話~妖魔急襲3~


「取り囲んで、首を狙え~~!決してひとりで敵に向かうな!」

「民を、安全な場所に逃がせ~~」


兵の長達の声が、戦場にこだまする。

戦況は、一変し陣軍が妖魔をおし始めた。

最初こそは奇襲と混乱により、崩壊仕掛けたが、平静を取り戻した伊達軍は強かった。

だが、兵は目の前の勝利に油断していた……。


妖魔は見た目よりも賢く、勝てそうにないと見ると、敵の将を狙おうと一ヶ所に集まってきた。 当然、ここでの将は、僕でもなく宗実様の事である。

僕は、いち早く危険を察知し、宗実様の元へ走り抜けようとしていた。


「間に合え~!」


10体程、妖魔が宗実に向かって襲いかかろうとしている。 僕は、なんとか妖魔より先回りし、宗実様の前へでる。


「政臣どの?」

「宗実様、ここは、私に任せてお下がりください。」

「かたじけない……しかし、政臣ひとりでは……。」

「いいから、早く!」


半ば強引に宗実様を突飛ばし、妖魔の注意を僕に向ける。


「妖魔ども、こっちだぁ!!!」


僕は、妖魔が一直線になるように逃げた。


「政臣どのぉぉぉぉ!!……どうか死なないでくれぇぇぇぇぇえええ!」


僕は、必死の形相の宗実に手をふり、余裕を見せる。

僕は、左足を前にだし、正眼の構えから切っ先を右肩まであげ、八相の構えをとる。



「覇王一刀流……ニの太刀、型のニ……。」

「連覇襲撃烈火(れんはしゅうげきれっか)!!!」


この技は、一直線に並んだ敵を足元から右肩にかけて切り上げ、回転しつつ、死角になった次の敵の右肩から足元にかけての打ち下ろしを、並んだ敵の数だけ繰り返す技である。


「はぁぁぁぁぁああああ!!!」


僕は、1体目の妖魔の足元から右肩にかけて切り上げた。

この時、妖魔が斜めに真っぷたつになるので、回転しつつその死角から、2体目の妖魔の右肩から足元にかけて打ち下ろす。


ザシュ、ズバァ


瞬く間に、妖魔が切り裂かれていく、、、僕は10体目の妖魔まで回転しながら、切り上げとうち下ろしを繰り返す。


「せゃあああぁぁぁあああ!!!


でもこの技は、ひとつ欠点がある……。


それは……。


「目が回る~!?」


僕は情けない声を出した。

10体目の妖魔を斬り倒し政宗を鞘に納め身体を支えた。


「はぁっはぁっ……やったか!?」


全部妖魔を倒したか、確認するため辺りを見回す。


「よし!もういないな……。」


兵たちは、歓喜の声をあげている。

僕は、ここで初めて油断した。


「政臣どの!上です!まだ1体残っています!」


宗実が、僕に向かって叫んだ。


「何!?」


僕は、ハッとしたように空を見上げた。

ものすごい早さで妖魔は急降下し、牙をむき出しにして襲いかかってきた。

体制を崩していた僕は、一瞬反応が遅れた。


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気づいたら異世界にいた。 佐倉 涼人 @sakura_suzuto

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