第10話~妖魔急襲2~

僕は、政宗を腰紐に通して落ちないようにする。


「状況はどうなっている?」


僕は、兵の声がするほうへ急いだ。

そして、宗実と合流する。


「政臣どの!?お身体は大丈夫ですか?」


あれ……? 「痛くない。」


つい声に出してしまったが、政宗を手にしてから身体中の痛みが、嘘のように引いていた。


「それに、その刀は殿様のものとそっくりですね?。」


そうなのか?

だとしたら、僕は頭の中で仮説をたてる。

さっき政宗様は、現代語に近いほど、死期が近いものが転生する。


ということは、政宗様は一度死んだはず!

そうか僕は何故、今ここに存在しているのか、たぶんだが解った。

だが今は、城の外の兵に加勢するのが先だ。


宗実と城外へでると、妖魔の群れが兵たちを襲っている。


まずい……。

これでは、明日の出発が危うくなる。

既に、目視で確認できるくらい民や兵が倒れている。


「くそっ!何故だ、何故!?陣が妖魔に襲われなければならない!」


僕は、鞘から政宗を引き抜き宗実様へ話かけた。


「宗実様、兵の長はどなたです!?」

「あわわわ!もうだめだ!私には無理だぁぁぁ!」

「くっ!!しっかりしてくだされ宗実様!!」


このままじゃ駄目だ……なんとか民と兵の士気をあげなくては、いくら5千の兵を持ってしても全滅してしまう。


仕方ない……僕がやるしかない!

政宗を構え、気合いの声をあげる。


「うおおおぉぉぉああああ!!!」


僕は、気合いの掛け声とともに、妖魔の群れに向かっていった。


「政臣どのぉぉぉ!」


後ろから、宗実の声がこだましている。

僕は、政宗を逆手にもちかえた。


「覇王一刀流、、、ニの太刀。」

「連覇襲撃衝(れんはしゅうげきしょう)!!!」


この技は、刀を逆手に持ち変え、切り付けたあと、左手から右手に持ち変え、突きを放つ連続技である。

僕は、妖魔の攻撃に合わせ切り付け、回転しつつ持ち変え突きを放つ。


「せぁっ!」


ブシュ……ズサッ……。


妖魔の首と胴体が、2つに別れて倒れていく。


「みんな、怯むな! 妖魔とはいえ、首を落とせば倒せる!! 陣を守るぞ!」


僕は、刀を天に向かって掲げ大声をあげる。


「うおおおおおおおおおぉぉぉぉぉおおおお!!!!!!」


5千あまりの兵が僕に応えた。


「私は、伊達政臣……政宗様の窮地に駆けつける為には、みんなの協力が必要だ……。」


僕は、ありったけの声をあげる。


「だから、力を貸してくれ!」


僕は、また空に向かって刀を掲げる。


「うおおおおおおおおおぉぉぉぉぉおおおお!!!!!」


陣の国中に響き渡る伊達の兵の咆哮……。


「皆のもの~政臣どのに続け~!いくぞ~!!!」


平静を取り戻した宗実が声の限り叫ぶ。

宗実様の掛け声により、僕は兵の先頭を勤める。


「これ以上妖魔の好きにさせるなぁ!!」

「民を最優先に救出だぁ!!」

「みんなで生き延びる事だけを考えるんだぁ!!!」


と熱い、臭い台詞を吐く。


「政臣どののお言葉を全員、胸に刻み進軍せよ~!!」


「うおおおおおおおおおぉぉぉぉぉおおおお!!!」


流石は戦に生きた人々、ノリがいい!!



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る