第9話~妖魔急襲~

僕は、愛姫の書面の入った筒を受け取り、成実と愛姫を部屋から見送った。


「では政臣どの、ひと足先に奥に向かいますので、後は頼みましたよ。」

「ハイ!!」


僕は、快く返事をした。

成実は、宗実を呼びつけて、僕の事を頼んでいるご様子。


「童同様、宗実も道中気をつけるのじゃぞ

「父上、お気遣いありがとうございます。」

「それでは、また会おうぞ?」


成実は高らかに笑い、愛姫と一緒に3千の兵を引き連れ、奥を目指して出発した。

愛姫が、奥の国から逃げ延びて、早1週間が経とうした。


「それでは、政臣どの!明日までごゆっくりお休みくだされ。 服もご用意してありますゆえ……。」


宗実は、礼儀正しかった。


「ありがとうございます……。宗実様。」


部屋にひとりになったところで、僕は溜め息をついた。


「ふぅ……これでいいのですか?政宗様?」


僕は、龍の刻印に向かって喋った。


(うむ、わずかな助言であそこまで考えるとは、流石はわしの子孫じゃ、、、。)


褒めても何もでないぞ!

近隣の伊達一味に援軍の提案は、政宗自らであり、細かい修正は確かにしたが、先祖の事をあんなに詳しく僕は知るわけもない。


「ここは、死後の世界かなんかなんだろ?」


(ぬしは、なかなかの切れ者じゃな!)


ということは、現代でいうとこの黄泉の世界か……。


「おかしいはずだよ、だってご子息達が、同じ時間軸でほとんど元服してるんだから、、、。」


(いいところに目を付けたのぅ、、、確かに死後の世界じゃ、だが誰もが死んだと気づいてはおらん。)


どういうことだ!?


(死んだ後は、もう一度この世界で生きることとなっている、そしてこの世界で死ぬと、魂は浄化したとみなされ転生できるという訳じゃ。)


なるほどだから、みな同じ時間軸に存在するのか?


「言葉遣いの一貫性がないのはなぜなんだい!?」


(ぬしで言うところの現代語に近づくにつれ、死期が近いものを表し転生が近いものということじゃ。)


頭の中でだいたい理解した。

解らないのは何故、僕がこの世界で存在しているかって事。


「じゃあなんで僕はこの世界に……。」


政宗に聞こうとしたその時、外から声が聞こえた。


「敵襲!敵襲!!みなのもの出合えー!」


兵の大声が城の至る所で響いている。

このタイミングでか!?

まだ思うように体が動かないなんて、言ってる場合じゃない。 僕は用意されいた服に、痛みを堪えながら着替えた。


取りあえず武器が必要だ!

刻印に向かって叫んだ!!


「政宗様!戦うには刀が必要でございます。力を貸してください。」


(ぬしには、見えぬか!?わしの姿が!。)


さっきまで気がつかなかったが、目の前に政宗が浮いている。


「ありがとうございます!政宗様!」


僕は、政宗を手にとり部屋をでた。

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