第8話~政宗救出作戦3~
シャッ
襖の開く音ともに、成実が声をあげ、入ってきた。
「愛姫様、陣の兵、総勢1万出陣の準備ができました。」
「よし、では政臣どの指示をお願いします。」
成実は、拍子抜けの声をあげた。
「何故この童が、進軍の指示をだすのじゃ?」
「政臣どのの策は素晴らしく、伊達一味の事も詳しい。だから指示を仰ぐのです。」
「しかし……。」
成実は納得いかない様子。
だが、愛姫には逆らえない。
「私の命は、殿様の命……。」
「むぅ……承知した……。」
このやり取りで、愛姫は小悪魔だと思った。
「それでは、3千の兵を引き連れ、成実様と愛姫様は奥へ出発してください。」
愛姫は、怪訝な顔を見せる。
「あまり兵を引き連れては無駄な犠牲と、民を不安を煽るだけです。」
「そして、明日、2千の兵を引き連れ、僕と宗実様で、近隣の伊達一味へ向かいます。」
「残りの兵はどうするのじゃ!?」
と、成実が興奮気味にまくし立てる。
やれやれ、僕を含め伊達の者は鈍いなぁ。
「残り5千は、陣の国を王が留守の間、守り通して頂きます。」
「それでは……。」
「それじゃ……。」
成実と愛姫は声を揃えて僕に向ける。
「それでは、殿様への援軍が少ないのと、陣の国が手薄になります。」
2人の声を流し僕は続けた。
「なので、1番近い宗清様に、1千の兵を引き連れ、宗実様と一緒に陣へお戻り頂きます。」
更に僕は続ける。
「宗実様が、戻られたら2千の兵を引き連れ、宗清様に奥へ向かって頂きます。」
「これだとまだ、陣が手薄になります。そこで、宗清様に2千の兵を御借りし、僕が、宗泰様の所まで3千の兵を引き連れて行きます。」
「なるほど……。」
「なかなかじゃの……。」
成実と愛姫は感心している。
「そこで、宗泰様に2千の兵を引き連れ、陣にお戻り頂きます。戻られる途中、宗清様と合流し宗清さまに、1千の兵を渡します。」
「宗清様は3千の兵を引き連れ、奥へ、宗泰様は、1千の兵を引き連れ、陣に」
「これで陣には、5千の兵と宗泰様と宗実様がいらっしゃるので、仮に妖魔がこられても十分に耐えうるでしょう。」
「そこで僕は、宗泰様に3千の兵を御借りし、4千の兵を引き連れ、宗信様の元へ行きます。」
「そして宗信様へ3千の兵を引き連れ、宗清様の国と宗泰様の国の境をお守り頂きます。」
「これで、宗清様と宗泰様の国は万全です。僕は、宗信様に2千の兵を御借りし、奥へ向かいます。」
「何がなんだかわからぬが、すごいの!ただの童ではなかったか!」
「じゃあ、殿様への援軍はどのくらいになるの?」
「成実様、3千の兵、宗清様、4千の兵、そして僕の3千で、1万です」
「これなら、援軍も全ての国は安全なはずです。」
「あなたは、片倉にも勝るとも劣るとも言えない切れ者ですね。」
「いえいえ、景綱(かげつな)様、いや、小十郎どのの足元にも及びません。」
僕は、謙虚に答えた。
「あなたは、伊達の事なら全てお見通しなのですか?」
僕は口に人差し指をたてて。
「秘密です。」とひと言。
「それより愛姫様、事を円滑に進めるために、書面の方、一筆お願いします。」
愛姫は、頷いて僕に微笑んだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます