クマは倒さないが読者の腹筋を的確に狙ってくる

カラテ部に所属する個性的な女子高生たちがただただ語り合う日常系の物語です。
ただし語るのは拳です。カラテです。そしてクマです。ええ、クマ。猛獣の。蜂蜜を持たない方の。

常日頃から「武道着姿の女性っていいよね!」などと妄言を吐いている私ですが、この作品に登場するのは揃いも揃って頭に残念がつく子ばかり。
彼女らはスター・システムによって別作品「前に進めば痛くない!」にも登場しているのですが、基本的な性格や口調は似通っているもののマトモさ指数は激減しています。

そうです、彼女らはマトモではありません。
クマに挑みたがる系女子、人間をやめたがる系女子、自分が一番マトモだと思いながら一番クマを愛している系女子、などなど……個性的にもほどがありすぎる!
やっていることも常識外ればかり。だからクマに挑むなって。高級電化製品を試し割りするなって! いたいけなお嬢さんに嘘八百を吹き込むなって!

でも彼女たちの日常、なぜかこの身にも似たような覚えがある……。
――そうして私ははたと驚愕の事実に思い至ったのです。

もとより武道武術をやっている人間にまともな奴なんていないのだ、と(違)。

妄言はさておき。
一癖も二癖もある彼女たちのじゃれ合う姿、ちらりと覗いてみてください。
読み終わるころには腹筋に正拳突きを喰らったような程よい痛みがあるでしょう。

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