第25話邪気全消しの旅へ。

「……もう、行くのですね。」

 私たちはあの後一泊し、これから城を出て、旅に出るところだ。

「そう、言ってなかったわ。アウルと日本を行き来するのは、異世界と移動できる邪気が咲香の中にいるからなの。」

「え、まじで。私の中に邪気がいるんだ。……なにそれ怖い。」

 確かに、咲香の中に移動できる邪気がいるなら、アウルと日本を行き来する意味が分かる。トモエが日本にいたのも、そういう能力を持つ邪気を使ったのだろう。

「リル女王の生まれ変わりが、邪気を作り出す元凶だという話だったが……。それは本当なのか?」

 その話が本当なら、私が元凶ということになる。

「そういうわけでは、無いと思うわ。邪気使いは邪気を作ることがあるけど、アウルの邪気全てを作り出したわけじゃないし……。封印できれば、消えると思うけど……。」

 確かに、リル女王が邪気を封印していた頃は、国に邪気はほとんどいなかった。

 リル女王が死んだことによって、邪気が多く出たのだ。

「邪気使いの中心人物が、東の国にいるわ。その人がよく知ってると思う。」

「東の国……ジベトか。」

「ありがとうございます。それでは。」

 私たちは、トモエとスサーに手を振り、前に歩き出す。

 太陽に照らされながら、私たちはゆっくりと歩く。

 この世界を守るため。一人の人間の夢を叶えるため。


 さあ、姉妹と日本人と邪気を連れて。



 邪気全消しの旅へ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

邪気全消しの旅 からあげ餅 @karaage0509

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ