11#カモシカ、風船が結んだ縁

 赤い風船に助けられたカモシカのマウシイに、いつの間にか牝カモシカのミミカが寄り添っていた。




 ミミカは無事でよかったと泣きじゃくった。 




 あの風船にまるで何か意思を持ち、マウシイ達を見守っていたみたいだ。


 そしてマウシイが野犬にやられるのを助けようとして、身を犠牲にしてマウシイを守ったのだ。




 ありがとう・・・


 赤色の大きな実・・・


 いや、風船さん・・・!




 暴吹雪は夜半には止み、翌日山は青空の下、銀世界だった。


 マウシイとミミカは一緒に餌探しや、助け合ったりしていた。


 マウシイの後ろ脚の傷は日に日に良くなり、一緒にふざけあったり出来るまで回復した。


 やがて春が来て雪を溶かし、そして夏が来たある日、マウシイはミミカに言った。


  「ミミカさん、この森の葉があの時の風船の色の赤に変わったら、結婚しよう!」


 ミミカはその告白に喜び、互いのふくよかな鼻をすりよせた。




 この秋に2頭のカモシカのカップルが結ばれた。


 やがてまた夏が巡り、マウシイとミミカの間に元気な仔カモシカが生まれた。




 2頭のカモシカからの新しい命の誕生を祝うように、その上空に、3つの風船が飛んでいった。




 ~カモシカと風船~


 ~fin~

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カモシカと風船 アほリ @ahori1970

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