5月

5月@日

プニラマ…ぷにぷにが一列に並んで突撃する

プニミ…ぷにぷにに囲まれてなんかちょっと癒される

プニデイン…ぷにぷにが怒る

プニンテ…ぷにぷにが自爆して青いゼリーが飛び散る

プニザイル…テンションあがってくるくる回らさせていただく

プニムート…召喚獣。なんかめっちゃ強い


5月△日

お腹が空いてきたのでぷにぷにの料理法について考えてみる。

有名な料理本ではゼラチンのような扱いをされていたので、やっぱりこれはゼリー的なものなのだろう。煮ちゃうとなくなっちゃうし、焼いたら食感が台無しだし、ということは、このまま生で食べるのが一番いいのだろうか?ぷるぷる触感を味わうにはそれしか…じゅるり。

と、考えていたら、ぷにぷにがおびえたような目で、ぷるぷるしながら突然喋った。

「ぼ、ぼくは悪いスライムじゃないぷるよ…」

喋るのか、と感心すると、「あ、わりと喋ります…ぷる」と返事があった。

語尾にぷるをつけてかわいらしさを演出しようとするあざとさにはイラっとするものの、自分以外と会話をするのが久々だったので、ぷにぷにしながら受け入れることにした。

「じゃあ名前をつけよう」

「あ、ぼくはスラ〇〇だよ、ぷる」

ぷにぷにが名乗るが、有名な先輩と同じだったのでやめさせる。

「そんな…じゃあスラピーでもいいです、ぷる」

それもロピーとほぼほぼ被っちゃってるからやめさせる。

そんな問答を繰り返すこと数分後、なにやら閃いたぷにぷにがカッと刮目した。

「スラ林三郎はどう?本名を踏襲しつつのアレンジ、ぷる!」

ほほう、なかなかいいではないか。語呂もいい。

「よし!今日からおまえはスラ林三郎だ!仲間だぞ!」

「ありがとうぷる!ぼく頑張るぷる!」

ちゃらり~ん、すてきな仲間が加わった。


5月♨日

スラ林三郎が殺された。

「あと1pでレベルアップだったからつい」

という勇者ロピーに罵声と呪詛をぶつける。

嗚呼、スラ林三郎!僕のかわいいスラ林三郎!

もう君の笑顔?を見ることはできないのだ!なんたる悲劇!全シェイクスピアが泣いた!それは小さな命の物語、的ないかにもなフレーズでお茶の間にお届けしてやるぞ!

今日からこの日記は、怨念まみれの復讐日記と化すのだ!

まずは手始めに貴様が寝ている隙に、剣をごぼうに変えてやるぞ!その旅人のお洋服にもぷにぷにのアップリケをつけてやる!靴の中にはスラ林三郎の欠片を入れといて、履いた途端ゼリーまみれになるがいい!はーっはっはっは!

ロピーの背中に張り付き、耳元で僕が復讐を誓っていると、煩そうにロピーが僕を振り払った。

「わかった。すまなかった」

そう謝って、呪文を唱えると、なんとスラ林三郎が蘇ったのだ!

「あれ!?僕は一体…?」

嗚呼、スラ林三郎!僕のかわいいスラ林三郎!

おいおい泣いて、ぷにぷにぷにぷにぷにぷにぷにぷにる。

「ニートゥさん、なんで泣いてるんですか?ぷに、じゃない、ぷる」

いろいろ錯乱気味だが、ロピーに手にかけられたことを忘れているようなので、そのまま黙っておき、ぷにぷにしながら再会に歓喜する。

よかったよかった。なにはともあれ、これで一件落着。


5月・日

スライムナイトごっこしようとスラ林三郎に跨ったが、スラ林三郎は小さくて、ただの座布団みたいになってしまった。

ちょっと悲しい。


5月♥日

スラ林三郎を大きくする方法を考える。とりあえず成長させようとご飯を食べさせようとして、そういえばと気づく。

ぷにぷにって何を食べているんだろう?なにかを食べているところをみたことがない。

とりあえず捕まえたバッタを与えようとしたが、「え、そんなの食べませんよ」とスラ林三郎にまじめにドン引かれてしまった。

「僕たちはみんなの夢と希望が栄養ですぷる」

「うるさい、魔物め」

ぼそっと本音が出てしまった。

僕たちは初めての倦怠期を迎えたのだった。


5月☂日

いつまでも気まずいのもなんなので謝って、スライムナイトごっこしたいから手伝ってほしい旨を伝える。スラ林三郎も気まずさにいたたまれなかったらしく、素直に合体できることを教えてくれた。

「僕たちは何体かで合体して大きくなれるぷるよ」

「そういえば王様みたいなでっかいスライムいたな。」

でもそうなると意識はどうなるんだろう。複数の意識を共有した生き物になるのだろうか?と考え込んでいると、

「僕たちはみんなで一つになるぷる。全は一。一は全。僕たちは世界であり、世界はぼくたちとなるんだぷる」

瞳孔開き気味におおらかに諭そうとするので、ちょっとイラっとして「あ、黒マテリア的なリユニオンですね。最終的な幻想な感じですね。それとも錬金術的なアレですかね。よくありがちですよね」と思わずつぶやいてしまった。


5月⇒日

スラ林三郎に合体してもらって、ちょっと大きくなってもらう。

跨ってみるが、想像以上に乗りこなしにテクニックがいる。というか、これ、バランスボールじゃん?

よし、満足!


5月㈱日

僕もあなたもぷーにぷに。それ、ぷーにぷに。イエイ!


5月/日

スラ林三郎がぽつりと呟いた。

「よく考えてみたら、蘇生の魔法って結構高レベルで習得するもんじゃないのかな、ぷる?」

そういえばロピーたちはレベルいくつなんだろ?

遅いランチの際訊いてみたが、ロピーは首を捻り「そういえばいくつだったっけ?」となんだかうろ覚えのようだった。

そしてそんな勇者の横で、3人は顔を覆って泣き始めた。


ランチを終え、さて出発、となったとき、突然、戦士と魔法使いと僧侶が土下座した。

「お願いします、もうそろそろ目的地に向かってください」

あ、目的地とかあったんだ、とびっくり。

勇者ロピーは相変わらずの無表情で、

「目的地って?」

とか聞いてて、二度びっくり。

途端に僧侶ジュウトが頭を抱えて悶絶した。

「なんなの、この子!?目的もなくただ魔物倒してただけなの?レベルめっちゃ上がってるよ!?通常じゃここらの地域じゃ覚えない呪文とか覚えちゃってるんだよ!?普通に中ボス3回くらい倒してるくらいのレベルだよ!?それを青いぷにぷにを毎日毎日ぷにぷにぷにぷに!あああああ!もう耐えられない!!」

「お、落ち着くんじゃ、ジュウト」

「気持ちはわかる!よーっくわかるぞ!」

3人は抱き合って慰めあう。この三人は勇者ロピーに振り回されて苦労している分、とても仲が良い。

それを傍目に、勇者がおもむろに立ち上がった。

「じゃあその目的地とやらに行こう」

「まずは準備でしょうよ!」

「それに着く頃には日が暮れてしまうしのぅ」

「まずは町で準備して、身体を休め、明日改めて攻略だ!」

「おー!」

僕も拳を突き上げて、ルンルンとスキップして続いたが、準備ってなんだろー?


パジャマパーティーみたいなのを想像していたら、案外しっかり本格的な準備が待っていた。

僕は3人の講釈を子守歌に、すやすやとおやすみなさい。


5月☣日

朝早くから目的地の洞窟に出発。

えーと、この大陸から他の大陸へいくためのワープ装置を動かすための鍵を、洞窟に住んでる魔物が奪っていったとかで、これからその鍵を取り返しに行くらしい。

洞窟って冒険心くすぐるよね~。

うお、蝙蝠!

へんなカエルいる~!

スラ林三郎、この角度で撮って!そうそう、あのでっかい石筍入れて!

お~苔が光ってる!はい!スラ林三郎、幻想的に笑って~!

僕も僕も撮って!

え?あ、もう倒したの?

早いね。

さすがレベル28。

攻略本とかあったら「目標レベル5」とかの、はじめてのおつかい的なダンジョンだよ。これって一方的な虐殺…あ、ちゃんと手加減した?いやいや、どのみち殺すなら全力で即死のがよかったんじゃ…。

いやいや、褒めてないよ?なんで照れてるの?こわい。


まだ午前中なので、お昼食べたらワープ装置のある祠へ向かうらしい。



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遊び人の冒険日記(仮) 小曽川ちゃこ @halemon

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