小説リレー企画「魔王が体育館に現れた 第3話」
山吹
第3話 ご機嫌なメンバー紹介
第一話 https://kakuyomu.jp/works/1177354054884288275
第二話 https://kakuyomu.jp/works/1177354054884288746
「ぐ、ぐぅっ……こいつはいきなりクライマックスだぜっ……!」
腹を押さえて個室へ駆けこんだ俺は、孤独な闘いを始めた。
このまま俺のごく個人的かつ尾籠なバトルについて詳らかにするのはやぶさかではないが、その前に語るべきことがある。
ここで紹介しよう、トイレの前で俺を待っている六人の仲間たちを!
……と言っても、一人目は俺の盟友たる只野村人、二人目は学園のアイドルたるマノマノちゃん。残る四人は以下の通りだ。
三人目、剣道部主将にして我が校が誇る最強剣士。
その名は
「わが剣の前に慈悲はなく、わが剣の後に敵は無し」が信条のこの男は、現代に蘇ったラスト・サムライだ。
お察しの通り薩摩示現流の使い手で、繰り出す斬撃は音速を越えると言われている。
常に腰に帯び、たまに休み時間などに念入りに手入れしている真剣について「それちゃんと銃刀法クリアしてる?」と聞ける剛の者は、教師を含め誰もいない。
ちなみに出身は千葉県である。
続いて四人目、ボクシング部キャプテンの福田
愛称は「フック」でアッパー系のご機嫌なチャラ男だが、自慢のフィニッシュブローはストレートだ。
とにかくめんどくさがりな男で、かつて一度も試合前の減量に成功したことがない、おそらく成功するつもりもない。が、口癖のように「オレは計量にパスしさえすれば最強だ」と言い続けている
何故そんな男がキャプテンなのか、という疑問には、ボクシング部の部員は彼ただひとりだという事実を示すのみである。
五人目、陸上部のエース女子にして美貌の異端児・山田ジャンヌ。
フランス系のハーフで、近代五種競技の日本代表強化選手だ。
近代五種競技とは、一人で射撃・フェンシング・水泳・馬術・ランニングをこなす複合競技らしい。
この競技に青春を捧げているジャンヌは、寝ても覚めても練習三昧だ。
どれだけ練習漬けかというと、彼女は常に水着姿で馬に乗り、両手にサーベルと銃を持っているほどだ。
校内にはあいにく下馬札など立ててあるところはなかったため、彼女は常に愛馬にまたがった姿で学校生活を送っている。そして彼女に「制服」という概念はない。
正直ツッコミどころしかないが、彼女の激ヤバな美貌が全ての免罪符となっている。
ちなみに、近代五種競技は英語で「モダン・ペンタスロン」というらしいが、彼女の胸はデカスロンだ。
そして最後の六人目、化学部所属のユダ・コキュートス。
漆黒の肌を持つ気さくなこの男はイスカリオ帝国出身の留学生……という触れ込みだが、どこにある国なのか全くわからない。本人曰く、ものすごくマイナーな国らしい。
物理学を極めた天才で、素人目からするとほとんど手品か魔術のようなことをやってのける。たとえば空を飛んだり、遠くのものを瞬時に手元に引き寄せたり、影を操ったり、etc……。
いや、正直俺は「それ魔術じゃね!?」と思うのだが、ユダは全て物理学で説明のつく事象だと言うし、数式を書き連ねて説明もしてくれる。
……だが、気のせいかユダが書き連ねている数式は数字というより文字に見えるし(本人曰く、「字のクセがスゴい」)、何故か円形に書くので数式というより魔法陣に見える(まっすぐ書くのが苦手らしい)。
あと、たまに後ろに引き連れている得体のしれない生物は「生体実験を施した動物」だというが、何となく魔物に見えなくもない。
ここだけの話、俺はこいつが異世界から紛れ込んだダークエルフかなんかじゃないかと思うこともある……あ、いや、そんなわけはない。多少耳がとがっているし、たまに爬虫類みたいな目になっているが、ユダは気さくな良い奴だ。
……この愉快な仲間たちと共に、俺は必ずや魔王を討ち果たす。
だがその前に、俺には重大な危機が迫っていた。
それは……ぎんぴかさんの第四話へ続く!↓
小説リレー企画「魔王が体育館に現れた 第3話」 山吹 @suzuna_ringo
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