第3話 どうしたらいいの?

それから数日が過ぎて、お城から呼び出しがあった。

きっと、噂を聞きつけたのだわ…

何となくタルジュに会うのが怖かったリリアは、知らず知らずため息を付いて歩いていた。

中に入る前に小さく深呼吸をして入った。

お呼びにより参上致しました。

リリアよく来てくれたね。

座るように言われてソファーに座った。

「リリア。 何だか顔色が悪い見たいだが大丈夫かい?」

「はい。 大丈夫です。」

「それならいいんだが… 実は今日呼んだのは、話もしたいんだが…

まず先に、気になる話を聞いたものだから、直接聞きたいと思ってね」

「噂の事ですね? 私自身の事ながら…よく分からないのです。」

「最近、お客様に感謝されるのですけれど、私自身、いつもと同じに織っているだけですので、実感が無いのです…」

「ただ、タルジュ様にお会いした頃から、夢を見るように成ったのです…」

「実感が無いか… それで夢とは?」

「はい。 私が織物をしている夢で、初めの頃は誰かに呼ばれているような感じだったものですから、織物の話をしたからだと思っていました。

二度目にお会いした頃には、夢の中でリヴァナと呼ばれました。

否定をしましたが、相手にリヴァナの生まれ変わりだと言われました。

それでも夢だからと思っていたのですが、お客様が私に、お礼を言いに来られたのです。

ある方は 、転んでケガをした所に織物のハンカチ 結んだら、痛みが無くなり傷も無くなったと…

また、ある方は息苦しい時に体にかけたら、 落ち着いたなど信じられない事を言うのです。

このように何人もの方々が私に話すのです…

「それはまるで、リヴァナの物語のような話だ。」

「そうなんです… それに、もし私が生まれ変わりだとしたら…

物語だと争いの時に生まれ変わると成っています。」

「だから、何かあるのだろうか…と、とても不安でたまらないんです。」

「リリアの不安は最もな事だと私も思う。」

「だが、この力は人々を救う為に、君の所に来たんだろう。」

「怖がる必要は無いと思う。」

「仮に争いが起きても、君がいるからこの国は安心だ。」

「言いかい? 例え君が生まれ変わりだとしても、君はリヴァナじゃない。」

「私にとってはリリアなんだよ。」

リリアはタルジュの言葉が嬉しかった。

そして、心が救われた気がした。

私はリリアとして、人々に尽くそう。

よし! 頑張ろうと拳を握りしめ決心していると、タルジュに話かけららた。

「リリア。 私は、君の事が好きだ。」

「私と結婚を前提として付き合って欲しい。」

「……。」

「わっ! 私とですか‼︎」

「嫌かい?」

「そんな事はありません。 むしろタルジュ様を好ましく思っています。」

「それで、返事はどうだろう… 私と付き合ってくれるだろうか?」

「私もタルジュ様の事が好きです。」

「こんな私で良ければ、宜しくお願い致します。」

「これで、私たちは恋人同士だな。 受けてくれてありがとう。

「とても嬉しく思う。 そうだ。 視察で城下に行ったが、今度は一緒に出掛けようか?」

「はい。 楽しみにしてます。」

「それから、私にもハンカチでいいから、何か織ってくれないか?」

「はい喜んで」

二人は微笑みあった。

「暗く成って来たな。 そこまで送ろう」

「そんな、申し訳ございません」

「恋人同士なら当たり前の事だから気にするな。」

さようならと手を振り別れた。

タルジュ様と恋人同士に成れるなんて幸せだわ…

でも、お父様達になんて言おう… 色々言葉を考えたが、いつもと同じに話す事にした。

「ただいま…」

「お帰り。」

「お帰りなさいリリア。」

「お父様、お母様お話がありますの。」

「今… 宜しいでしょうか?」

「何だい改まって?」

「実は城主のタルジュ様に結婚を前提として付き合って欲しいと言われました。」

「相談もなくお受けしましたが、宜しいでしょうか?」

「やはりな。 おめでとうリリア」

「リリア良かったわね」

「ありがとうございます。」

「マリア!今日は祝いだぞ!」

父は、母マリアにご馳走を準備するように言った。

父は上機嫌である。

夢のようだわ… 今頃タルジュ様は、何をなさっているのかしら…

リリアは暖かい気持ちのまま眠りについた。

その夜、やはり夢を見た。

いつものように織物をしていると、声の主が争いが起こる! たくさん織物を準備するんだ!

「何故、そんな事を言うんですか?」

「本当に起こる事だからだよ。」

「あなたは一体誰なんです。」

「何故、私に話すのですか?」

「いずれ時が来たら教えよう… とにかく、たくさん織物を織るのだよ。」

それだけ言うと、声は聞こえなくなった。

また、変な夢を見たわ… 争いが起こるから織物をたくさん用意する⁉︎

夢なのに… 何故かしら… 織らなきゃいけない気がする…

不安にかられ、織物を作る事にした。

ショールに上掛け、それにハンカチ。

数日かけて、とりあえず便利だと思う物をたくさん用意した。

ここ数日のリリアの様子を心配して両親が尋ねた。

「リリア。 この頃、朝から晩まで織物をしているがどうしたんだい?」

「何か悩み事でもあるのかい?」

「心配かけてごめんなさい。」

「大丈夫… と、言っても無理な話よね…」








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織物でつむがれる物語 サチヤ @sachiya040507

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