第2話 お好きな物は何ですか?
リリアがお城に行ってから数日立ち、あれは夢だったのではと思い始めたある日。
また、お城から誘いがあった。
父親は喜び、リリアに行く様に勧めた。
リリアはタルジュに会いたかったのだが、父親に勧められたから行く事にした事にした。
今日は、どういったご用なのかしら… また、織物の話よね…
タルジュ様は、他に何がお好きなのかしら…
リリアは聞いてみたい気持ちにかられた。
そんな事を考えながら馬車を降りて歩いていると、いつの間にか部屋の前に着いていた。
慌てて気を引き締め、扉の前で待った。
少ししてる、中に入るように促され中に入った。
今日も先日のようにタルジュが座って待っていた。
「リリア、よく来てくれたね」
「お呼びにより参上致しました。」
座るように言われてソファーに座った。
今日も色んな国の織物の話しをした。
リリアの知らない話は、心を踊らせた。
「タルジュ様は、色々とご存知なのですね」
「
「それにお話が楽しくて、もっと聞きたいと思ってしまいますわ」
「そう言ってくれると嬉しい」
「私もリリア殿と話していると楽しく思う」
「今まで、こんなに話の合う人がいなかったから尚更だ」
「そうなんですか? 私も初めてですわ」
リリアは、ほんのりと頬を染めた。
それにつられて、タルジュの耳も少し赤い。
少し沈黙がおりて、タルジュが織物以外に好きな物はあるかと聞いてきた。
リリアはびっくりした。
だってリリアもタルジュに聞いて見たかったからだ。
「リリア殿? どうしたのだ?」
「すみません。 私もタルジュ様にお聞きしたいと思っていましたので、びっくりしまして…」
「リリア殿とは、話が合うようだ」
「そうですね。 それで、私の好きな物は… 物というより、好きな動物は犬ですわ」
「犬は懐いてくれますし、可愛くて忠実ですわ」
「いつも私を癒してくれます」
「犬は、私も好きな動物だ」
「賢くて頼もしい」
二人は頷き微笑んだ。
「タルジュ様のお好きな物はございますか?」
「私は読書が好きだ」
「読書ですか?」
「本は色々な事を教えてくれるし、冒険もできるから楽しみにしてる」
「素敵な事が書かれているのでしょうね」
楽しく話しているとあっという間に時間が過ぎていた。
「すまない。 暗く成ってしまったな」
「大丈夫ですわ」
「また、来てくれないか?」
「はい。 喜んで」
リリアはとても嬉しく思った。
リリアは家に帰っている間、タルジュの事を考えていた。
今日も素敵な日だったと思い眠りについた。
パタン、カラカラ…と、音がする。
リリアはいつの間にか織物をしていた。
夢の中で、みんなの無事を祈り、一生懸命に織物をしていた。
誰かが呼んでいる… リヴァナ、リヴァナと…
『ここにいたんだね… リヴァナ』
『私はリリアよ。 リヴァナじゃないわ』
『何を言っているんだい』
『君がリヴァナだ。 鏡を見てごらん』
鏡にうつった自分の姿は、自分によく似た女の人だった。
『そんな… 嘘よ私はリリアよ』
『君はリヴァナの生まれ変わりなんだよ』
『違う、違うわ…』
リリアは必死に訴えた。
しかし、相手は聞いてくれない。
そのうち、声は聞こえなく成ってしまった。
はっとして目が覚めた。
辺りは、まだ少し薄暗かった。
私がリヴァナ? 変な夢を見たわ…
私がリヴァナの生まれ変わりのはずがないわ…
たくさん織物の話をしたから、そのせいで、また、変な夢を見たんだわ。
まだ起きるのには早いが、眠る気になれず、起きて織物の図案を考える事にした。
風景の物、それから花や蝶など色んな図案を考えた。
リリアは時間も忘れて没頭した。
あっ。 もうこんな時間。 市場に行けば、夢の事なんて忘れるわ…
リリアは急いで食べて出掛けた。
この日、先日、織物を買ってくれたお客さんにお礼を言われた。
お客さんが言うには、転んでケガをした所に、織物のハンカチを結んだら
痛みが引いて傷が治ったのだそうだ。
今日は、他にもお礼を言ってくるお客さんが数人いた。
まるで夢を見てるような出来事だ。
隣で店を出しているカリナも、不思議な事があるもんだと、びっくりしていた。
もちろん等の本人もびっくりである。
一体何が起きたんだろう。
この日を境に、買い物に来るお客さんと、お礼に来るお客さんとたくさん訪れるように成った。
父親は、噂を聞きつけ大層喜んだ。
「リリアは、リヴァナの生まれ変わりかも知れないな」
「リヴァナも人を癒す力を持ち人々を救ったという」
お前もしっかり尽くすのだぞと、言い上機嫌である。
リリアは複雑だった。
噂が一人歩きしているように思ったからだ。
それに、毎日見るリヴァナを呼ぶ夢… 突如あらわれた不思議な力…
確か物語では、争いが起こる時に生まれ変わるだったはず…
リリアは良くない事が起こるのではと、気になっていた。
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